「プロビジョニングやスケーリング、管理が不要」といった特長を示す「サーバレス」という言葉は、いま、より幅広い分野で使われ始めています。その最も明示的な例が、AWSが2017年12月に発表し、今月正式版としてリリースした「Aurora Serverless」でしょう。
Aurora Serverlessは、決してAWS Lambdaで実行されるサーバレスアプリケーション専用のデータベースではありません。「Amazon Aurora」のサーバレス版です。
Aurora Serverlessは、データベースサーバ(現時点ではMySQL)をマネージドサービスで提供します。通常のアプリケーションからAmazon Auroraと透過的に利用可能です。
そしてその名称に「Serverless」が含まれているように、Aurora Serverlessはデータベースサーバインスタンスのプロビジョニングは不要。クライアントからのアクセスをトリガーとして、自動的にデータベースサーバのインスタンスが起動し、負荷に応じてインスタンスが動的に増減するというスケーラビリティを備えています。
つまり、従来のサーバレスコンピューティングが備えていた「プロビジョニング不要でオートスケール」という特長をきちんと備えているのです。そして、データベースの分野でサーバレスという用語を使っているのは、AWSだけではありません。
Oracleが2018年8月、Oracle Cloudでの自律型データベース「Oracle Autonomous Transaction Processing」の正式リリースを発表したとき、同社CTO(最高技術責任者)兼会長 ラリー・エリソン氏は、その特長の一つが「サーバレス」であると次のように説明しています。
「アプリケーションが動いていないとき、データベースに対して割り当てられるサーバはゼロだ。これをサーバレスクラウド、あるいはサーバレスシステムと呼んでいる。そしてシステムがビジーになってきたら、稼働中であっても割り当てるサーバを増やしていく」
AWS Lambdaの登場をきっかけに、主要ベンダーが次々と同様のサービス提供を始めたように、「Aurora Serverless」に続いて、今後は主要なクラウドベンダーが、サーバレスの特長を備えたデータベースサービスを始めていくのではないでしょうか。
ちなみにこの後、エリソン氏は「Amazonではこんなことはできない」と発言していましたが、Aurora Serverlessが登場したことで、次からはそう言えなくなってしまいましたね。
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