3年で中小企業1000社に導入したい――MSのクラウドERP、導入支援団体が発足「Microsoft Dynamics 365 Business Central」導入を支援(2/2 ページ)

» 2019年06月07日 08時00分 公開
[高木理紗ITmedia]
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なぜ中小企業への導入に“コンソーシアム”が必要なのか

photo PBCの荻田篤史 取締役 業務管理本部長

  PBCはBusiness Centralに日本の商習慣向けの独自パッケージを提供する。グローバル仕様のBusiness Centralに税制などの日本国内法に準拠した機能を提供するモノで、「国内で同製品を導入するなら必須」だという。そのせいか、2018年秋にBusiness Centralが日本でリリースされて以来、多くの顧客からの問い合わせに自社の対応が追い付かず、実質的に待ってもらっている状態だという。

 「現在、関東の製造系企業を中心に導入を進めているが、既に10件のプロジェクトが進行中で、商談中の企業だけでも40件はある。全国の顧客の声には、自社だけでは応えきれない。対応可能なエリアや業種を拡大し、人的リソースを確保する必要があると考えた」(荻田篤史 取締役 業務管理本部長)

「カスタマイズが当たり前」だったERP導入の常識を打破せよ

 中小企業のクラウドERP需要を追い風に立ち上がったCEPS。同コンソーシアムが目指すクラウドERP導入の姿は、オンプレミスの時代に「大企業御用達」のイメージがついて回りがちだったERPの導入とは異なる。

 日本マイクロソフトのパートナー企業として、クラウドソリューションの導入を手掛けるJBS ビジネスソリューション本部担当 執行役員の櫻田 浩氏は、「できるだけカスタマイズせずに、迅速に導入して“そのまま”使ってもらいたい。サブスクリプション型のERPを(JSB独自の)テンプレートを使って導入すれば、約3カ月でパラメータ設定からテスト移行までが済む“スピード導入”を目指せる。SaaS(Software as a Service)型ERPであるBusiness Centralは、その目的に適している」と語る。

photo JBS ビジネスソリューション本部担当 執行役員の櫻田 浩氏

 JBSは、「カスタマイズではなく、システムを導入、運用する現場の教育を」として、Business Centralに特化したトレーニングプログラムを用意。「ERPをある程度知っていれば、7日間で同製品のパラメータ設定や導入ができるようになる」という。

 櫻田氏によれば、オンプレミス型のERPとしてハードウェアやソフトウェア、ミドルウェアをカスタマイズして運用した場合、保守やメンテナンス、導入から5年でソフトウェアがEOS(End of Service)を迎えた場合のシステム再構築費用などを含めて中小企業でも2億円程度の費用が見込まれる。一方、クラウドERPを細かいカスタマイズなしで導入、運用した場合、10年間のスパンでみた導入・運用コストを約10分の1に抑えられるという。

photo JBSによるMicrosoft Dynamics 365 Business Central導入プランの概要(画像出典:JBS)

 「日本ではまだ現場の抵抗が大きいが、ビジネスの国外展開や職場のメンバーの国際化が進めば、それが当たり前の時代になるだろう。日本では(各業務に合わせて)細かいカスタマイズをしないとERPを導入できない、という先入観を打破したい」(櫻田氏)

 CEPSは今後、参加企業を増やしつつ、全国の中小企業を対象にBusiness Centralの導入支援を行うとしている。

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