MSのAI、ついにトップ雀士に並び立つ オンライン麻雀「天鳳」で10段を獲得

Microsoft Research Asiaが開発した麻雀AIが、33万人が参加するオンライン麻雀対戦プラットフォーム「天鳳」で最高位の10段を獲得した。現在10段を維持しているプレイヤーは12人しかいない。

» 2019年08月30日 09時05分 公開
[ITmedia]

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 日本マイクロソフトは2019年8月29日、Microsoft Research Asia(MSRA)が開発した麻雀AI「Microsoft Suphx(Super Phoenix 以下、Suphx)」が、同年6月に日本のオンライン麻雀対戦プラットフォーム「天鳳」で10段を達成したと発表した。人工知能(AI)が10段を達成するのはこれが初めて。

Suphx が大三元で上がった場面 Suphx が大三元で上がった場面(出典:Microsoft)

 日本マイクロソフトによると、天鳳には、プロのプレイヤーを含む世界中の麻雀愛好家約33万人が参加している。最高位は10段で、その上の11番目の段位として「天鳳位」がある。4人麻雀で天鳳位を獲得したプレイヤーは、これまでわずか13人。一度でも10段に到達したことのあるプレイヤーは180人いるが、現在10段を維持しているプレイヤーは12人だという。

 MSRAがSuphxで天鳳に参加したのは、2019年3月。4段以上のプレイヤーだけが参加するゲームルーム「特上卓」で、これまで人間を相手に5000回以上対局したという。

 麻雀の勝敗は、プレイヤーが最初にそれぞれ違う強さを持つ牌(ぱい)をどれだけ獲得できるかといった、いわゆる配牌(はいぱい)などの運に左右される。そのため天鳳は、数多くの対局から運に左右されないプレイヤーの実力を推定し、「安定段位」という指標で評価する。Suphxの安定段位は平均8.7段以上で、特上卓のトッププレイヤーが約1万回対局したときの段位の平均値は7.4段。東京大学が2015年に開発した「爆打」とドワンゴが2018年に開発した「NAGA25」の安定段位は、いずれも6.5段である。

 段位が高いほど負けた際のペナルティーが重くなり、ある程度以上のポイントが引かれると低い段位に移されるなど、安定段位を高く維持するのは難しい。

運や駆け引きも制する「強い麻雀AI」開発の課題とは

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