NTT東日本は、RPAとOCRを活用した業務効率化の実証実験について、検証結果を発表した。人手での処理時間を全体で約73%削減できた。RPAのみの業務の削減効果は平均60%だったのに対して、OCRを併用した業務の削減率は平均87.2%だった。
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NTT東日本(以下、NTT東)は2019年12月12日、RPA(Robotic Process Automation)とOCR(Optical Character Recognition)の活用による、業務効率化の実証実験結果を発表した。さいたま市の働き方改革を推進させることを目的に、同市と共同で実施。RPAの実証実験はNTT東の「WinActor」を利用して2019年3月1日から、OCRは同社の「DX Suite」を利用して同年6月24日から行っている。
今回の実証実験で対象とした業務は、パスワードの再発行や軽自動車税の廃車申告データの入力作業など、さいたま市の4つの課にわたる10業務。これまで職員の手作業で対応していた各システムへの入力やデータ転記などをRPAによって自動化し、業務時間の削減効果を測定した。手書き帳票などの紙を扱う業務に対しては、処理時間をさらに削減すべく、OCRを活用した実証実験も実施した。
なお、RPAを活用した工数削減効果の測定に当たっては、「職員による処理時間」と「RPAを実行するために必要となる職員による処理時間」を比較。自動化の前と後でトータルの作業時間を比較して、導入効果を評価している。
NTT東は結果について「自動化によって人手での処理時間を全体で約73%削減できた」としている。そのうち、RPAのみを用いた5業務の削減効果は平均60%だったのに対して、OCRを併用した5業務の削減率は平均87.2%。RPAとOCRを併用すると、処理時間の削減効果を高められると報告している。
削減率が最も小さかったのは、「eLTAX」(地方税ポータルシステム)による法人市民税申告データの入力業務で、17%。RPAの稼働結果を担当者が確認するのに時間を要したことから、削減率が低かったという。ただし、RPAによる転記ミスなどがないことが実証実験で確認できたので、実運用時には確認作業を省けるとしている。なお同業務では、エラーの種類が多く、ロジック化が困難といった課題が明らかになった。
これに対して最も削減率が高かったのは、高齢者向けのシルバーポイント事業交付申請受付業務で、91%だった。ただし、申請書の内容と既存データとの整合性確認について、記載内容やシステムの仕様的な制約が原因で、ロボットに実行させる条件設定が困難だという課題が残った。
NTT東は今回の結果を基に、RPAの導入を円滑に進めるためのポイントとして、以下の3点を挙げている。
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