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» 2020年03月17日 07時00分 公開

半径300メートルのIT:危機が浮き彫りにしたリスク、火事場泥棒は肩越しにのぞく (1/2)

「改革していきましょう」と提唱してもなかなか浸透しなかったのが嘘のように、働き方のパラダイムシフトが進んでいます。これまでの常識が通用しない時代でも、普遍的なリスクを忘れないようにしましょう。

[宮田健,ITmedia]

 全世界で「COVID-19」が猛威をふるっています。話題になり始めた当初は、まさかここまで世界経済にダメージを与えるものになるとは思ってもみませんでした。このウイルス禍は日本企業に対して「働き方改革」の最後通告を突きつけたように見えます。

 これまで常識とされていたものがガラガラと崩れていき、BCP(事業継続計画)をしっかりと考えていた企業と先延ばしにしていた企業で明暗が分かれていくのは見ていて恐ろしいものです。経営者たちは現在、どのような道を模索しているのでしょうか。

アマビエ すっかり有名になった「アマビエ」も、少し前まではマイナーな存在でした

 さて一方で、私たちのような「個としての社会人」は何をするべきでしょうか。どうやら現在は、上から指示されたことだけやっていれば良いという状況ではなさそうです。私たちでできることを考えなくてはなりません。

 テレワークで働くのが当たり前になりつつある時代における注意点を、もう一度考えてみたいと思います。

「テレワーク」と「リモートワーク」「在宅勤務」は何が違う

 まず「テレワーク」について、おさらいしましょう。これは「テレ=遠く、遠隔の」「ワーク=仕事」という意味で、企業の執務室以外で働くことを包括的に示す言葉です。「リモートワーク」とほぼ同じ意味になりますが、日本政府は「テレワーク」を標準の用語とし、さらに「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3種類に分類しています。

総務省白書 人口減少時代のICTによる持続的成長

 在宅勤務とは自宅での作業、モバイルワークは持ち歩き可能な端末と通信環境のあるカフェや屋外などで業務に従事することをいいます。サテライトオフィス勤務は会社と自宅以外で業務に当たることを意味し、これらを総称して「テレワーク」と呼びます。

 在宅勤務の場合、自宅での作業は集中できますし、ビデオ会議をしても周りにいるのは家族だけです。しかし在宅勤務以外のテレワークは、公共の場での作業となります。そうすると、気を付けなければならないことが増えてきます。

課題1.ネットワークの問題

 公共交通機関や空港あるいは災害時などに開放される公衆無線LANは、かつて非常に危険なものと考えられていました。パスワードによる保護もなく多数の端末が接続するため「あんなものは言語道断! 通信が丸裸でパスワードも抜かれ放題だ!」という印象だったのです。

 しかし現在、ほとんどのWebサイトやサービスはSSLによる暗号化通信が当たり前になり、通信内容がのぞかれるリスクは低くなっています。現在、公衆無線LANのリスクは「偽SSIDにつなげてしまうこと」や「企業のポリシーとしての利用規則」など、従来とは異なるものに変化しています。通信の安全性そのもので考えれば公衆無線LANをそのまま使っても、組織から貸与を受けたWi-Fiルーターを利用してもおおむね問題はないでしょう。

 ネットワークの問題は「VPN」にあります。多くの企業で、社内ネットワークにつなげる手段にVPNを採用しているでしょう。ところでVPNで接続する際の認証方式は何でしょうか。

 もし、VPN接続の認証が「IDと固定パスワード」だけの場合、流出するとなりすましによって不正アクセスされるおそれがあります。せめて利用者として、極力パスワードを強化するようにしてください。できれば「意味のない文字列にする」「ランダムに抽出した3〜4個の単語を並べる」といった強いパスワードをVPNに接続する際の専用パスワードとして用意してください。パスワードの使い回しなど言語道断です。理想はワンタイムパスワードや生体認証、2要素認証などのより強固な認証方法を採用したいところです。

漏えいパスワードのリストを見て分かった“強いパスワード”の作り方 (1/2) - ITmedia エンタープライズ

 ここでの問題は、VPNのシステム側の制約です。例えばVPNが非常に古く「パスワードは8文字まで」や「数字記号を入れること」のような制約があると、複雑で強いパスワードが作りにくくなります。また、「VPNが貧弱で全社員が接続できない」などのトラブルも発生しているようです。このような場合は、利用者側では何もできません。組織的な対応を求めることになるでしょう。

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