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» 2021年01月29日 10時00分 公開

住友生命のデジタルシフト、保険業界の非対面営業をどのように実現するのか?コロナ禍に負けないシステム開発の裏側

対面営業が中心だった保険業界にとって非対面、非接触のデジタルシフトは急務だ。デジタルを活用して契約者に新たな付加価値を提供する、住友生命の新型保険を支えるシステム開発基盤とは。

[PR/ITmedia]
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 人生を陰から支える生命保険は、その人の生き方や働き方だけでなく家族との関わりにも大きく関係する。従って契約時には信頼のおけるプロフェッショナルにじっくりと相談してから決めたい。それ故に保険営業は対面による信頼獲得が重要だ。

 保険会社と契約者が接触する機会は契約を結ぶときや保険金を支払うときがもっぱらで、実際には定期的な契約内容の確認を含めてもほとんどが書面のやりとりで終わる。契約者に押印やサインを求めることもあり、IT化がそれほど必要とされていない業界だったとも言える。

 ところが近年、保険業界にもデジタルシフトの流れが押し寄せている。住友生命保険(以下、住友生命)はテクノロジーの進化や市場動向を見据えていち早くデジタル化を進めてきた一社だ。2015年ごろからデジタル化を意識した商品開発に取り組んできたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は大きなインパクトをもたらした。本稿は同社の取り組みを紹介しよう。

健康増進を支援する新保険開発で直面したデジタル化への課題

 住友生命が2018年に発売した健康増進型保険「Vitality」は、デジタルを活用して顧客に新たな付加価値を提供する意欲的な商品だ。同社の岸 和良氏(情報システム部担当部長 兼 代理店事業部担当部長)は次のように振り返る。

住友生命保険 情報システム部担当部長 兼 代理店事業部担当部長 岸 和良氏

 「着手したのは、まだDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が世の中に浸透する前です。『FinTech』『InsurTech』といった言葉が注目されていたころから市場動向を見据えて一歩先を進んでいました」

 Vitalityの大きな特長は、契約者の健康増進を支援する点だ。健康診断結果を会員ポータルにアップロードしたり、スポーツイベントやフィットネスに参加したり、日々の運動をウェアラブルデバイスで計測したりといった健康増進への取り組みに応じてポイントが付与される。集めたポイントはスポーツ用品や食料品の割引に利用できる。健康への意識が高い人にとって魅力的な商品だと言える。

 しかし生命保険会社にとっては挑戦でもあった。契約者とのエンゲージを高める仕組みが必要不可欠だからだ。

 「VitalityはDXや付加価値のかたまりです。顧客が何にお金を払うのか、何に満足するのかを見極めるビジネスセンスが問われます。それをシステムで実現するにはどうしたらいいか、テクノロジーの素養はもちろん、保険業界の業務知識も必要です」(岸氏)

 DXプロジェクトを支える人材にも投資しなければならない。足りない人材を外部から招き入れたとしても保険業界の業務知識やビジネスセンスが不可欠だ。「自社で育成した方が良い」と判断した岸氏らは、主に同社の上流エンジニアを対象としたDX人材育成プログラム「Vitality DX塾」を作った。

 社内インフラの刷新にも迫られた。保険会社の基幹システムは基本的にオンプレミスで調達する。数十年前に構築したホストコンピュータやサーバではスピード感が足りず、運用コストも安くはなかった。Vitalityが契約者に十分な付加価値を返すためには、クラウドならではの運用ノウハウ、スピード感、コスト最適化が求められる。

 そこに、コロナ禍が追い打ちをかけた。特に営業担当者は、対面営業の機会を顧客からキャンセルされるなど苦戦を強いられている。押印やサインといった対面を前提とした手続きから、デジタルを活用した非対面営業へのシフトは保険商品を提供する上で重要な要素の一つになった。

Vitalityの機能開発を支える特急開発プラットフォーム「SPIRAL」

 新型保険のシステム開発に当たり、岸氏は次のように語る。

 「従来型の保険商品開発においてはお客さまが直接使う機能がほとんどないため、フロントエンドとバックエンドを分ける発想はありませんでした。しかし、Vitalityのようなお客さまが直接システムを使う保険商品はお客さまとの接点になるフロントエンド開発やユーザーインタフェース(UI)が極めて重要な要素になります」

 同社はVitalityのフロントエンド開発の一部にパイプドビッツの特急開発プラットフォーム「SPIRAL」を採用した。もともとは別部署で使われていたSPIRALをVitality向けの機能開発でも活用するようになったと言う。

 まず契約者宛てのメール配信の仕組みをSPIRALで変えた。ホストコンピュータで運用していたメール配信システムを使うには専門知識を持つエンジニアが必要で、気軽に使えるものではなかった。SPIRALで構築した新しいメール配信システムは、ビジネス部門の担当者が打ちたい施策に合わせて柔軟にメールの内容を変更できるようになった。

 「最初は『カスタマイズ性の高いローコード開発ツール』という認識でSPIRALを導入しました。実際に使ってみて、自分たちで簡単に文面の修正ができる『ノーコード開発』でも使えると感じました」(岸氏)

 SPIRALは、コロナ禍で契約者のメールアドレスを収集するシステムの開発にも役立った。既存の保険契約は契約者によるメールアドレスの記入が必須項目ではなく、メールを接点とした営業が難しかった。

 「お客さまにメールアドレスを登録してもらうキャンペーンを実施しました。WebサイトやチラシにあるQRコードをスマートフォンで読み取ってもらい、送信してもらったメールアドレスを登録する仕組みを用意しました。面会をしたりお客さまに負担をかけたりせずに顧客のメールアドレスを収集できました」(岸氏)

 SPIRALを活用したことでメールアプリを起動して宛先をセットするためのQRコードを生成したり、受信したメールアドレスをDBに登録したりする機能開発が素早く、低コストで実現できたという。

 「時間をかければスクラッチ開発で進められたかもしれませんが、コロナ禍では悠長に構えてもいられませんでした。非対面、非接触で保険業務を遂行できるようにするだけでなく、Vitalityの機能拡張も並行して進める必要があったからです。他社がデジタル化を進める中で後れを取ってはいけないという意識もありました」(岸氏)

開発時間を大幅に短縮しながらも、利便性とセキュリティは確実に両立する

 住友生命は2021年にリリース予定のVitalityの新機能は鋭意開発中だ。同時並行で非対面営業へのデジタルシフトにも取り組んでいる。これからの保険業務は契約者が自らPCやスマートフォンを操作して、営業がそばにいなくても完了できる仕掛けが必要になる。

 そのためには今日的な必須機能で、かつ使いやすいUIは必須だ。使いにくければ契約者は入力や操作を断念してしまうし、新規契約であれば成約に至らなくなってしまう。

 保険商品は個人情報が含まれるためセキュリティも忘れてはならない。保険商品でユニークなキーとなるのは証券番号だが、それを覚えている契約者はまずいない。契約者が安全に契約情報にアクセスするにはメールアドレスや電話番号などを通じて本人確認する必要がある。

 岸氏は「SPIRALには二段階認証など今日的な必須機能のインターフェース構築に必要な部品が十分にそろっています。同じ機能を自力または外部に発注して開発するよりも早く、安く済みます」と話す。

 時代の要請に応えるには、複数業者を比較して選定している時間が惜しい。実際にSPIRALを活用したことで必要な新機能を順次リリースできる状況になった。これまでとは開発スピードが格段に異なると言う。

 「新しい製品を導入するには事前に約200の項目がある社内独自のセキュリティ監査をクリアする必要があります。SPIRALが導入済みだったこともあって、すぐVitalityにも適用できました。官公庁での導入実績があることも安心材料の一つです」

DXへの取り組み、ビジネスで先手を打つために

 契約手続きなどのデジタルシフト、非対面営業の実現が急務となった。これからを勝ち抜くためにも、これまでにない早さでWebサイトやアプリに新機能を実装するための仕組みは欠かせない。岸氏は「Vitalityのようなエポックメイキングな商品は、短時間で開発できることがとても重要です」と、SPIRALがもたらす開発スピードを評価する。

 今ではビジネス部門でもSPIRALの活用が定着したと言う。

 「当初は利用する機能やパーツの扱い方に慣れずにパイプドビッツの担当者にサポートしていただくこともありましたが、現在は社内でほとんど内製化できています。微修正はビジネス部門の担当者でも簡単にでき、好評です。先手を打っていくためにも、SPIRALのスピード感とパイプドビッツの体力やサービスの強化に期待しています」(岸氏)

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提供:株式会社パイプドビッツ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2021年2月18日