アナリティクストランスレーターの役割 今からデータ経営を目指す企業への処方箋

これからデータ分析を使った意思決定環境の構築を目指す場合企業には「アナリティクストランスレーター」としてのスキルを持つ人材の育成が必要だという。

» 2021年04月22日 10時30分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

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SAS Institute Japan 小林 泉氏

 人材不足はDX推進の最大の課題と言われる。その解消には人材育成へのさらなる注力が必要だ。だがやみくもな投資は大きなリスクを伴う。

 データのビジネス活用を手探りで進める企業が、すでにノウハウを獲得した先行企業との格差を縮めるために「アナリティクストランスレーター」というポジションの人材を育成することこそが重要だと語るのは、アナリティクス分野で40年超の実績をもつSAS Institute Japanの小林泉氏だ。同氏に日本のデータ活用の現在地と人材育成の要点を聞いた。その概要をまとめる。

データ分析の目的はビジネスの意思決定の高度化

 データ分析がビジネスの意思決定に使用され始めた歴史は、少なくとも、1976年にSAS創業者の1人、ジム・グッドナイトが汎用コンピュータで従来の紙と鉛筆による統計解析手法を用いた需要予測処理をデジタル化した時にさかのぼる。

 それ以降、ITインフラストラクチャがメインフレームからオープンプラットフォーム、クラウドへと進化するのに伴い、データ分析に使えるデータの種類が増え、データ分析ソフトウェアは統計解析、データウェアハウス、データマイニング、BIそしてAIツールへと、進化してきた。データ分析は標本データから母集団を推定するいわゆる統計解析からスタートして、テクノロジーの進化により扱うデータの種類を増やし、画像解析やディープラーニングなどのビッグデータ活用が可能になってきた。しかしデータ分析の目的は40年以上前からまったく変わりがない。それはデータをビジネスの意思決定に役立てることだ。

アナリティクスに成熟した企業と「暗中模索中の企業」それぞれの課題と求められる機能

 ただしデータ活用を古くからビジネスの意思決定に活用してきた企業と、そうでない企業との違いは明らかだ。

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