SAPは企業のDX推進を支援すべくRISE with SAPという新しいプログラムを推進中だ。DX推進にあたっての企業が抱える障壁を解消する施策の核を担う「SAP BTP」の現状と今後の見通しはどうなっているだろうか。
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SAPは2021年1月に「RISE with SAP」というコンセプトを発表し、企業のDX推進を支援する体制を強化しつつある。RISE with SAPは、DX推進の障壁となるIT投資などの課題を解消するサービスを契約顧客に提供するものだ。
2021年6月2日、国内向けにRISE with SAPの詳細を説明したSAPジャパンの平石和丸氏(バイスプレジデント エンタープライズビジネス統括本部長)はRISE with SAPを「インテリジェントエンタープライズを推進するためのオファリング」と表現した。
SAPが標ぼうする「インテリジェントエンタープライズ」はAIやIoTといった最新のテクノロジーを基幹業務プロセスの中に埋め込み、業務生産性を高めようというコンセプトだ。「プロセスの中に埋め込む」と表現する通り、AIやIoTなどを使った機能を外部に持つのではなく、プリセットされたネイティブな機能としてアプリケーションの中に実装する、または専用プラットフォームで整合性ある形で機能を提供することを意味する。
とはいえある程度「読める」投資が可能なERPと比べ、AIやIoTといった「攻めのIT」と呼ばれる領域はPoCを繰り返してトライアンドエラーを進める必要があり、必要な投資額が読みにくい。
「RISE with SAPは、SAPのERPを採用する企業に対して攻めのITに関するPoC実施のプラットフォームも併せて提供する仕組みだ。ソフトウェアPoCの使用権を提供するのに加え、まだ『SAP S/4HANA』(以下、S/4HANA)を利用していない企業に対しては移行のメリットに関する分析レポートも提供し、インテリジェントエンタープライズ実現の第一歩を実現しやすい仕組みを用意した」(平石氏)
RISE with SAPではシステム基盤にプライベートクラウドの他、「Google Cloud Platform」(GCP)や「Microsoft Azure」(Azure)、「Amazon Web Services(AWS)など主要なパブリッククラウドも選択でき、どの環境でも同じ利用体験を得られる点も特徴だ。このRISE with SAPでDX推進に向けたPoCを実施す際の核となるのが「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)だ。
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