「プログラム可能な民間デジタル通貨」とは何か 産業界のデジタル変革にどう貢献する? 金融DX(1/3 ページ)

中国でデジタル人民元の実証実験が進むなど、各国で「デジタル通貨」実用化に向けた試みが続いている。デジタル通貨はこれまでの通貨と何が違うのか。ITジャーナリストがデジタル通貨の本質に迫る。

» 2022年03月11日 08時00分 公開
[星暁雄ITジャーナリスト]

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「デジタル通貨フォーラム」座長の山岡浩巳氏 「デジタル通貨フォーラム」座長の山岡浩巳氏

 日本を代表する企業の連合によってデジタル通貨を作り上げ、産業界の抜本的なDX(デジタルトランスフォーメーション)のツールとする――このような大胆な挑戦が始まっている。2022年中にも実証が始まると期待されている民間デジタル通貨「(仮称)DCJPY」である。

 民間デジタル通貨「DCJPY」(仮称)(注)を推進する「デジタル通貨フォーラム」の座長を務める山岡浩巳氏(フューチャー取締役、フューチャー経済・金融研究所長)は、DCJPYについて「プログラムを載せることができるプラットフォームだ」と説明する。お金(マネー)とプログラムが出会うことで、何が可能となるのだろうか。

 ざっくりと言えば、日本の産業界をデジタルで作り替える挑戦が始まっているのである。

(注)DCは「Digital Currency」の略。JPYは「日本円」。

民間デジタル通貨は、産業界の要請に応えるツール

 ここ数年、デジタルな「お金」を巡って新しいキーワードが飛び交っている。暗号通貨(あるいは仮想通貨、暗号資産。今回の記事では「暗号通貨」を主に使う)とブロックチェーン、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、そして民間デジタル通貨。これらはそもそも何なのか、既存の仕組みとどこが違うのか、どのように役立つものなのか――。筆者は、この問いを胸にここ数年間取材してきた。今回の記事では、日本の民間デジタル通貨「DCJPY」(仮称)を中心に、これらの問いへのひとまずの回答を記していきたい。

 民間デジタル通貨とは、企業や産業界の要請に応えるデジタル通貨だ。

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