SBT(Science Based Targets)、CDP(Carbon Disclosure Project)、RE100とは? 大手企業が取り組む環境保護はわれわれにどう影響するか編集部コラム

規制物質管理の対応などで苦労した経験がある企業は少なくないでしょう。今後、新たにGHG管理も必要になれば新たなIT投資が必要になるかもしれません。手間がかかる一方でビジネスチャンス拡大の可能性や財務面の利点も期待できるようです。

» 2022年08月20日 10時00分 公開
[荒 民雄ITmedia]

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 2022年8月上旬にソニーグループがサプライチェーン全体での温暖化ガス(GHG)削減計画を検証する活動を始めたとの報道がありました。SBTイニシアチブの認定取得を目指す取り組みの一環です。

 同社環境活動に関する公開情報を見ると、2018年から既にRE100に加盟しており、2022年3月には「RE100アドバイザリー委員会」に加わり、日本およびアジア地域における再生可能エネルギー転換を支援する立場にありました。CDPの調査においてもサプライチェーン全体での取り組みが高く評価されています(注1)。

 ソニー広報によれば、この取り組みの主軸は自社内であり、またGHG削減などの取り組みも、製品ライフサイクル全体で評価するものとなっているようです。販売後の製品の使われ方や廃棄時を含みます。報道にあったような中小企業への指導は、あくまでも対応したいが手が回らないなどの課題を持つ取引先企業に限っての取り組みとされています。

ソニーグループにおけるSBTの取り組み(出典:「Sony サステナビリティレポート 2021」、注2)

 アドバイスの範囲は製造工程やファシリティ面の省エネ施策の他、希望企業に対しての再生可能エネルギーの調達手法の指南も含みます。ソニーの工場での改善活動経験者やファシリティに詳しい従業員が2〜3人でチームを組んで希望する企業を訪問。現地視察から改善余地をチェックして、指摘ポイントを改善可能かどうか、類似の事例にどんなものがあるかを紹介し、「x%の削減を行う」といった目標を立ててアクションを促します。一度訪問して終わりではななく、半年後をめどに成果報告会のような形でアクションの結果を確認するところまで支援します。

SBT、CBT、RE-100とは? 中小企業も知らなければ商機を逸する環境問題

 SBTやCBT、RE100といったキーワードは、IT業界でも装置メーカーやデータセンター事業者の皆さんは顧客向けに対応を急いでいるところでしょう。それでも経営に近い立場の方や製造業で調達に関わるような方以外にとってはまだあまりなじみがないのが現状かと思いますが、今後われわれが何らかの製品やサービスを開発する際にも実は理解しておくと良いことがあるものです。

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