米陸軍がGoogle Cloudを採用 公共機関での採用拡大に向け新部門を発足

Google Cloudはこれまで米国の公共部門の組織との連携を強めるために専門の部門を立ち上げて取り組んできた。その中で、米陸軍との連携は同社にとって大きな成果だ。米陸軍がGoogleを選んだ理由と抱えていた課題とは。

» 2022年10月06日 07時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Google Cloudは2022年10月5日(現地時間)、同社のブログにおいて米陸軍が「Google Workspace」を採用したと発表した。

 同社は2022年6月29日(現地時間)、米国の連邦政府や州政府、地方政府、教育機関などの公共部門の組織がDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するのを支援するために「Google Public Sector」という部門を新設している。

Google Cloud Blog「U.S. Army chooses Google Workspace to deliver cutting-edge collaboration」のトップ(出典:Google CloudのWebページ)

米陸軍が抱えていた課題 Google Workspaceでどう解決するのか

 Google Public Sectorは今回の米陸軍とのパートナーシップに基づき、最大25万人の現役軍人にGoogle Workspaceを提供する。これは同部門の最初の大規模なパートナーシップ締結だ。米国政府は米軍のミッションを支えるクラウドベンダーの選択肢を増やすように求めており、Google Workspaceは米陸軍の業務遂行を支えるコラボレーションツール群を提供する。

 陸軍は多くの場合、困難な環境や場所でリモート形式で作業をしており、シームレスな連携が課題だった。Google Workspaceはこれらの課題を念頭に設計されており、さまざまな労働条件や場所、仕事、スキルレベルに合わせて導入できる。

 さらに、Google Workspaceは世界で30億人を超えるユーザーを抱えており、陸軍要員のトレーニングなどに時間を要しない点も利点だ。Google Public Sectorは最終的に、兵士らと米陸軍スタッフが安全かつ迅速にコミュニケーションできるように支援していく予定だ。

 Google Public Sectorは米陸軍をはじめ、その他の公共部門との関係構築に取り組んでいる。Acclimaとの提携では、ニューヨーク州に局所的な大気観測器を提供しており、またアリゾナ州立大学との連携では、同大学が運営するK-12(注1)教育機関である「ASU Prep Digital」によるリモートの没入型学習技術の構築と世界展開に協力した。

米陸軍との連携は始まりにすぎない?

 Google Public Sectorは、米国の公共部門の組織がGoogle Cloudの高度なサイバーセキュリティプロダクトのエキスパートになることを支援する。Google Cloudはそれをもって、広がりを見せるサイバー攻撃の脅威に対し、組織のデータやアプリケーションの保護に専念するとしている。

 その一環として、公共部門の従業員とデジタルおよびクラウドスキルのパートナー向けに多数のトレーニングや認定プログラムを用意している。また、米国の公共部門組織により良いサービスを提供するため、新たなソリューションを構築できるパートナーとのエコシステムを拡大していく予定だ。

注1:幼稚園(KindergartenのK)の年長から、高等学校を卒業する(12年生=高校3年生の学年)までの13年間の教育期間のこと

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