ラリー・エリソン氏(Oracle会長兼最高技術責任者)が未来のクラウドの形を話した。これまでとは違う、クラウド同士が連携しユーザーに自由が増えるという。また同氏によれば、ヘルスケア産業においてもこれまででは考えられなかった変化が起きようとしている。
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Oracleの会長兼最高技術責任者(CTO)であるラリー・エリソン氏は2022年10月18日(現地時間)、Oracle開催のイベント「Oracle CloudWorld 2022」(開催期間:2022年10月17〜2022年10月20日)の基調講演に出演し、「これまでのOracleにおけるクラウドインフラの進化」と「新たな時代のアプリケーションの在り方」について語った。
「米国には4つのメインとなるクラウドプロバイダーがあり、中国には2つある。そのうちの幾つかは世界でメジャーな存在だ。顧客はこれまでこのプロバイダーから最低でも2つ以上を選択して利用していた。なぜならそれがビジネスを進めるために必要だと思ったからだ。彼らは幾つかのインフラプロバイダーに加え、複数のアプリケーションプロバイダーを利用している」――。エリソン氏は講演冒頭、企業のクラウド利用の現状をこう語った。
同氏によれば、こうした顧客動向はITプロバイダーのビジネス戦略に変化を与えており、主な変化として「サービスプロバイダーのマルチクラウド上でのビジネス拡大」が挙がる。
エリソン氏はこの例として「Snowflake」を挙げて「Snowflakeは『Amazon Web Services』(以下、AWS)、『Microsoft Azure』(以下、Azure)、『Google Cloud Platform』で利用できる。Oracleとしてもこのアイデアは良いと思った」と話した。
「Oracleは新たなテクノロジーをクラウドのために採用し、さまざまなクラウドで利用できるようにする」(エリソン氏)
実際にOracleが提供する「MySQL Heatwave」は「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)のみならず、「MySQL Heatwave on AWS」や「MySQL Heatwave for Azure」といった形で他のクラウド環境でも利用可能だ。
一方でエリソン氏は「大きなアイデアとして、クラウド同士をつなげてみてはどうだろうか」と今後の進化を発表した。その根底にある考えとして同氏は「全てのメジャーなクラウドを連携させれば、1つのクラウドに縛られずに他のサービス環境を利用できるようになる。自分のニーズに合ったクラウドを選べるようになることが重要で、閉鎖的なものは今後は機能しない。これこそが進むべき道だ」と語った。
同氏によれば、この「未来のクラウド」の始まりはOracleとMicrosoftによって提供される「Oracle Cloud and Microsoft Azure Interconnect」だ。これは両社のクラウドデータセンターを高速でつなげるもので、ユーザーの利便性を向上させる狙いがある。
「Azureでアプリケーションを持ち、OCIのデータベースで保存といった作業が可能になる。もちろん逆もだ。そしてこれらの作業は無料だ」(エリソン氏)
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