オフィス回帰とフリーアドレス制の拡大で「出社したが、どこに座るべきかよく分からない」「予約したはずの席に同僚が座っている」状況に悩む企業も多い。今、多くの企業から人気を集めているワークプレース管理ツールの特徴は。また、今後注目される機能とは。
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アイ・ティ・アール(以下、ITR)は2023年9月26日、国内のワークプレース管理市場の規模推移と予測を発表した。
同規模推移および予測は、「コンテンツコラボレーション市場」「ユーザー間ファイル転送市場」「バーチャルオフィス市場」「ワークプレース管理市場」の全4分野を対象に、国内41のITベンダーに実施した調査を基に、2021〜2022年度の売上実績と2027年度までの売上予測をまとめたものだ。詳細は同日発行された市場調査レポート「ITR Market View:デジタルワークプレース市場2023」に掲載されている。
なお、ITRではワークプレース管理を「オフィス空間などの物理的なワークスペース(執務場所)の効率的な運用を支援する製品、サービス」と定義し、売上金額にはハードウェアや設置にかかる導入費用は含めていない。
ワークプレース管理市場の2022年度の売上金額は20億1000万円で、前年度比32.2%増となった。全てのITベンダーが好調に売上を伸ばしており、一部のITベンダーは前年度比で2倍以上の売上規模となったことが市場拡大の要因になった。2023年度も同様の傾向が見込まれることから、ITRは同33.8%増を予測している。
国内のワークプレース管理ソリューションは、コロナ禍に濃厚接触の回避や濃厚接触者の確認などを目的に導入が拡大した。オフィスの移転や縮小、オフィスレイアウトの変更を機にフリーアドレス化が進んでおり、需要が拡大している。フリーアドレス下におけるチームやグループ単位での座席確保や在席状況の可視化、部署・部門の枠を超えた交流の促進など、社内コミュニケーションの活性化や円滑化を目的とした導入も増えつつある。今後は、昨今注目されている「Activity Based Working」に基づいた業務環境を志向する企業も増えると考えられ、その実現のための導入も見込まれる。
このような市場動向を背景に、同市場の2022〜2027年度のCAGR(年平均成長率)は22.5%となり、2025年度には2022年度の約2倍の市場規模に伸長すると予測している。
ITRの舘野真人氏(シニア・アナリスト)は、「オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが注目される中、物理的なオフィス環境をより効率的に活用するための手段として、ワークプレース管理製品、サービスの導入が進んでいる。現在は、フリーアドレス席に対応した座席予約・管理システムが人気の中心だが、今後は、会議室などの共用スペースの予約・管理や来訪者受付といった幅広い機能を備えるソリューションにより関心が集まると予測される。また、オフィス内での従業員の行動を可視化、分析するための手段としても活用されると考えられる」とコメントした。
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