この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
OpenAIは2023年11月6日(現地時間、以下同)、「ChatGPT」の新たなモデル「GPT-4 Turbo」の導入とマルチモーダル機能を含むサービスのメジャーアップデートを発表したが、提供開始の翌日には複数のサービスで障害が発生し、本稿執筆時点で合計3回の障害報告が挙がった。最後の障害についてはDDoS攻撃の関与が示されている。
OpenAIは複数のサービスで障害報告を挙げた(出典:OpenAIのWebサイト)
メジャーアップデートの主な内容は以下の通りだ。
- 従来よりも高性能で2023年4月までのデータに対応した新しいGPT-4 Turboモデルの導入。128Kコンテキストウィンドウをサポートし、300ページ以上に相当するより長い入力に対応
- 画像入力、画像生成(DALL-E 3)、音声合成(Text-to-Speech)を含むプラットフォームによる新しいマルチモーダル機能の実現
- 開発者が簡単に独自の支援AI(人工知能)アプリを開発できるようにするアシスタントAPIの導入
- ユーザーが著作権侵害に直面した場合に費用の支払いなどを実施する「著作権シールド」を発表
- 幾つかのサービスの価格の値下と制限の引き上げ
- 目的に合わせてカスタマイズできるChatGPTとして「GPT」の発表
新しいサービス群は2023年11月6日に提供開始されたが、同社は間もなくしてChatGPTおよびAPIについて障害が発生したと報告した。最初に問題が認識されて調査中であることが報告されたのは2023年11月7日の夜であり、以下のタイムラインを経て最初の報告から2時間半ほどで障害は収束した。
- 2023年11月7日(太平洋標準時)19:52: 問題を調査中
- 2023年11月7日(太平洋標準時)20:33: いくつかの緩和策を適用しているが、ChatGPTとAPIは定期的に停止を繰り返している
- 2023年11月7日(太平洋標準時)20:47: 修正が実施されサービスは正常に戻りつつある。完全に復旧するまで引き続き監視を行う
- 2023年11月7日(太平洋標準時)21:02: ChatGPTとAPIに再び障害が発生している
- 2023年11月7日(太平洋標準時)21:59: 修正が実施され、結果をモニタリングしている
- 2023年11月7日(太平洋標準時)22:21: 当問題の修正が完了した
しかし障害はこのままでは終わらず、翌日早朝から再度以下のタイムラインで障害が発生した。
- 2023年11月8日(太平洋標準時)05:54: 問題を調査中
- 2023年11月8日(太平洋標準時)06:02: 問題を調査中
- 2023年11月8日(太平洋標準時)06:49: ChatGPTとAPIに高いエラー率が確認されており、考えられる原因を調査している
- 2023年11月8日(太平洋標準時)06:50: ChatGPTとAPIで高いエラー率の原因となる問題を特定し、修正に取り組んでいる
- 2023年11月8日(太平洋標準時)07:33: 修正が実施されサービスは正常に戻りつつある。現在、状況を注視している
- 2023年11月8日(太平洋標準時)07:46: 午前5時42分から午前7時16分(太平洋標準時)にかけて全てのサービスに影響を与えるエラーが発生した。問題を特定し修正を実装した。現在、サービスからの通常の応答が観測されている
翌日の朝に発生した問題は朝のうちに収束したが、同日今後は昼から以下の障害が発生した。
- 2023年11月8日(太平洋標準時)12:03: 問題を調査中
- 2023年11月8日(太平洋標準時)12:41: 修正が実施され、状況を注視している
- 2023年11月8日(太平洋標準時)12:56: 今後の問題がないか引き続き監視している
- 2023年11月8日(太平洋標準時)17:23: ChatGPTとAPI全体で定期的に障害が発生している
- 2023年11月8日(太平洋標準時)19:49: 分散型サービス拒否攻撃(DDoS)による異常なトラフィックパターンによる定期的な停止に対処している。影響を軽減するための作業を続けている
- 2023年11月9日(太平洋標準時)13:21: 当問題は解決され、サービスの状態は正常に戻った
最初の2回の障害についてはシステム内部の問題によるものかサイバー攻撃かどうかは明言されていない。3度目の障害に関してはDDoS攻撃の影響によるものと説明されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.