東急百貨店のkintone活用術 "紙だらけ"の業務をどう変革したか?(2/2 ページ)

» 2023年12月19日 08時00分 公開
[谷井将人ITmedia]
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新サービスのシステム基盤も構築

 2023年1月、同社は東急百貨店本店における営業を終了した。同店では購入された商品を顧客の自宅に配送するサービスを提供していたが、営業終了に伴い同サービスも終了する可能性があった。

 しかしこのサービスは顧客からの人気も高く、同社には終了を惜しむ声も寄せられた。存続方法を探る中で生まれたのが新サービス「電話注文即日配送サービス」(2023年5月に試験運用を開始)だ。

 これは、顧客が電話注文した商品を翌日までに送り届けるというもの。サービスの基盤は情報システム部などがkintoneで構築した。

 注文から配送までの流れはこうだ。顧客からの電話注文を外商員が受け取る。外商員は商品配送を担当するドライバーたちの予定をシステム上で確認しつつ、注文情報を登録。その情報を基に店舗スタッフが商品をピックアップし、ドライバーに渡して顧客のもとに届ける。

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 システムを構築したことで、外商員と店舗スタッフ、ドライバーといった所属する部署や会社の異なる人々の連携が取れるようになった。

上がらなかった社内テスト受講率が100%に

 もう一つの成果が、社内テストの受講率向上だ。同社では従来、紙の教育マニュアルとテストを使って社内教育をしていた。1000人の従業員がいる東急百貨店では、テストの受講率が上がらないことが課題になっていたという。

 ところが、教育マニュアルとテストをkintoneでデジタル化したところ、受講率が100%に到達。業務の隙間時間にスマートフォンでテストを受けられるようにしたこと、受講状況を可視化できるようにしたことが受講率アップにつながったという。

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 テストアプリは情報システム部が作ったテンプレートを基にさまざまな内容のものを作れるようにしているため、「情報セキュリティテスト」や「ハラスメントテスト」といった試験の実施も可能。社内のリテラシー向上にもつながった。

 東急百貨店は今後、kintone上のデータのAI(人工知能)分析など用途拡大を目指す他、kintoneのさらなる活用に向けた社内体制整備などを行うとしている。

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