東急百貨店のkintone活用術 "紙だらけ"の業務をどう変革したか?(1/2 ページ)

紙ベースの顧客管理を行っていた東急百貨店がkintoneを使ったDXを実施。「顧客データのデジタル管理」「新サービスのリリース」「社内教育の徹底」を実現した。

» 2023年12月19日 08時00分 公開
[谷井将人ITmedia]

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 東急百貨店には、店頭で接客をする販売スタッフの他に、個人や企業の顧客を訪ねて個別にサービス提供をする部隊「外商員」がいる。この外商員たちは近年まで、顧客データを紙ベースで管理していた。

 1人の外商員が担当する顧客は100人単位に上ることもある。それだけの情報を紙の顧客台帳に記録していたため属人化が進み、「引継ぎ業務がスムーズにできない」「データを共有して活用できない」といった問題を引き起こしていた。

 そんな東急百貨店は2020年にデジタルトランスフォーメーション(DX)推進プロジェクトを発足し、ノーコードツール「kintone」を採用した。コロナ禍でアナログな営業活動に制限がかかったのもDX推進の背景の一つだという。

 同社はkintoneによって、顧客データのデジタル管理や新サービスのリリース、社内教育の徹底といったさまざまな実績を作り出した。

顧客台帳をデジタル化しただけなのに

 東急百貨店はkintoneでそれまでの顧客台帳をデジタル化した「顧客カルテ」システムを構築した。顧客カルテは外商員が担当する顧客の購入履歴やイベント参加履歴、問い合わせ履歴、趣味指向などの情報を登録したデータベースだ。

photo 「顧客カルテ」の記録イメージ(kintone、「東急百貨店様の導入事例」より)

 紙からの脱却により、顧客情報は部全体で共有できるようになり、営業効率が上がったという。時間がかかっていた引継ぎ作業もスムーズになった。

 業務効率化だけでなく、新たなマーケティング施策も実施できるようになった。顧客データを一元管理することで、購入履歴に加えて顧客の趣味指向を把握できるようになり、過去に商品を買った人だけでなく、潜在的なニーズを持つ顧客へもアプローチできるようになったという。

 他にもメールマガジンの配信やアンケート調査などの実施が可能になり、コロナ禍においても顧客との接点作りにつながった。

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