Microsoft、4400億円投資 日本のAI基盤と人材育成、セキュリティに 全文訳(1/2 ページ)

Microsoftが日本のITインフラ強化やAI人材育成、情報セキュリティ対策のために今後2年で29億ドルを投資すると発表した。

» 2024年04月11日 10時00分 公開
[ITmedia]

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 Microsoftは2024年4月9日(現地時間)、日本におけるハイパースケールのクラウドコンピューティング基盤及びAI用インフラを強化するため、今後2年間で29億ドル(約4401億円)を投資すると発表した。また、今後3年間で300万人以上にAIスキルを教えるため、教育プログラムの展開を拡大する他、「Microsoft Research Asia lab」を開設して日本政府と情報セキュリティの分野で協力を深める。

 これらの投資は日本のITインフラや人材、情報セキュリティを拡大し、DX(デジタルトランスフォーメーション)とAI導入を加速させることでデフレ対策や経済刺激を支援するのを目的としている。この発表は岸田文雄首相の訪米に合わせたもので、Microsoftのブラッド・スミス社長兼副会長と日本マイクロソフトの津坂美樹社長が首相と面会した。

日本のAI、クラウドインフラを拡充

 29億ドルの投資はMicrosoftが日本に対して行ったものとしては過去46年で最高額となる。日本には同社初の海外拠点として日本マイクロソフトがある。この投資によって日本におけるAIとクラウドインフラ分野の投資額は倍増した。

 今回の大幅な投資の強化によって、MicrosoftはAIワークロードの高速化に不可欠な最新のGPUなど、高度なコンピューティングリソースを日本で提供できるようになる。これは、経済産業省が進める基盤モデル開発支援プログラム「Generative AI Accelerator Challeng」(GENIAC)への支援に基づいている。

300万人のAI人材育成

 同社は今後3年間で日本の労働者300万人を対象に、AIの構築と活用に必要なスキルを身に付けるためのトレーニングに投資する。女性や開発者、学生を含むさまざまな組織や社会全体を支援することを重視したプログラムを提供する。

 AIを活用した仕事に従事したいと考える女性に向けたプログラム「Code; Without Barriers」も提供する。他にも、国連訓練調査研究所(UNITAR)と提携し、AIや情報セキュリティ、ITスキルなどに関する無料コンテンツを広く公開する予定だ。

 MicrosoftはAI統合を推進できる高度AI人材を育成するため、AI開発者やIT企業向けの教育コースとドキュメント(レファレンスアーキテクチャ)も提供する。これはAIコーディングアシスタント「GitHub Copilot」で強化されている。また、サポートプログラム「Microsoft for Startups Founders Hub」を通じてリソースを提供することでスタートアップをサポートする他、専門高校でのAIプログラム導入も支援する。

 あらゆる企業や政府、公的機関を通じてAIによる社会的利益を推進するため、MicrosoftはAIツールの普及と応用を支援する既存プログラムを継続提供する。データ管理や情報セキュリティなどAI活用ポリシーの策定も支援し、AIの責任ある安全な使用を確保する。

日本初の「Microsoft Research Asia lab」開設

 同社の研究機関であるMicrosoft Researchは東京に拠点を開設し、アジア太平洋地池における研究リーダーシップを拡大する。

 新しい研究所は日本の社会経済的に優先度の高い内容に沿って、物理的身体を持つAI(Embodied AI)やロボット工学、社会的AI、福祉、科学などの分野に焦点を当てる。新拠点の開設は日本に対するMicrosoftの長期的な取り組みと、日本がイノベーションで世界をリードする可能性を信じていることを反映したものだ。

 Microsoft Researchはこれまでのコンピュータサイエンスの進歩を基盤として、AI分野での大胆なアイデアと技術的なブレークスルーを追求する機関だ。アジア太平洋地域の基礎研究の場として、これまで20年以上にわたり日本の学術界と協力して分野横断的な研究の推進と人材育成に貢献してきた。

 研究協力をさらに促進するため、今後5年間で東京大学と慶應技術大学、カーネギーメロン大学間のAI研究パートナーシップにそれぞれ1000万ドル(約15億円)の助成金を提供する。

情報セキュリティ強化のための連携

 Microsoftは日本が国家安全保障戦略に基づいて情報セキュリティを強化する中、内閣官房と協力して政府や企業、社会の情報セキュリティのレジリエンス(回復力)を強化する。

 この連携は同社が日本向けに提供しているサービスを基盤としている。情報共有や人材育成、技術ソリューションなどの分野に注力し、情報セキュリティの脅威に対処する取り組みの一環として、専門知識や高度なクラウド、AIを活用した情報セキュリティサービスを提供する。

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