キヤノンがグローバル330社の経営管理基盤を構築 連結決算を合理化した方法は?

キヤノンはグループ経営のさらなる強化に向けて、迅速な意思決定と業務の効率化による戦略的な経営管理業務へのシフトが求められていた。グローバル330社の経営管理基盤を構築した方法とは。

» 2024年04月12日 07時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

 キヤノンはグローバルでの事業拡大に伴い、連結決算業務におけるデータの収集や集計、報告資料作成などの負荷が高まっていた。また、組織変更や分析軸の追加といった環境変化への対応が年々複雑化していた。グループ経営のさらなる強化に向けて、迅速な意思決定と業務の効率化による戦略的な経営管理業務へのシフトが求められていた。

キヤノンがグローバル330社の経営管理基盤を構築した方法

 日本オラクルは2024年4月11日、キヤノンが米国や欧州、アジア、オセアニアのグループ会社約330社を対象に、経理業務の効率向上と連結決算の早期化を目的に「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」の一部である「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management」(以下、Oracle Cloud EPM)の利用を開始したと発表した。

 キヤノンの従来の連結決算では、オンプレミスの連結決算システムに取り込むためのデータの整合や、ファイルの変換などが必要だった。そこでキヤノンは、Oracle Cloud EPMを活用して、連結決算業務に関わる経理業務を合理化し、正確かつリアルタイムに統合されたデータを活用してレポート作成の自動化や多軸分析によるインサイトの取得を目指した。

 キヤノンはOracle Cloud EPMの決算処理機能「Financial Consolidation and Close」を活用して、連結決算におけるデータ収集から連結処理、連結財務諸表と経営層向けの速報値レポートの作成、決算開示までの一連のプロセスを自動、標準化した。予算策定では組織、地域別経費などの多軸分析を効率化した。キヤノンは、連結決算に関わる一連のプロセスやデータの整備が、同じクラウド・プラットフォームで完結できる点も評価している。

 キヤノンの谷野幸穂氏(経理本部 連結経理部長)は以下のようにコメントした。

 「『Oracle Cloud EPM』の導入によって、決算短信開示までの業務工数を大幅に削減できました。また、決算の早期化を後押しし、正確かつリアルタイムの統合された報告が可能になりました。当システムによる業務プロセスの自動化・標準化は、リモートでの業務を加速させ、経理部門の新しい働き方にもつながると考えています。将来はAI(人工知能)などの最新テクノロジーを採り入れ、さらなる業務の省力化を目指していきます」

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