ERPが“データの墓場”になる前に設けるべき4つのルール

ERPのデータはさまざまな部門で使われ、その質が低いと業務に影響が出る。データ品質を確保するために企業が徹底すべき5つの指標と、指標を浸透させる4つの方法を紹介する。

» 2024年04月26日 07時00分 公開
[Reda ChouffaniTechTarget]

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 ERPのデータはさまざまな部門で使われているため、その質が低いと業務に影響が出る。

 ERPのデータが不正確なことで会計上の問題が生じる可能性がある。また、データの質が低く原材料の発注が不正確だと、サプライチェーンのリーダーは計画立案が難しくなる。不正確なデータで在庫切れが生じれば、顧客は別のサプライヤーから購入するだろう。ERPへのデータ入力が期限に間に合わないことで、出荷の遅れや注文の見落としにつながる恐れがある。

 データ品質を確保するために企業が徹底すべき5つの指標と、指標を浸透させるための4つの方法を紹介する。

データ品質確保につながる5つの指標

 データ品質を確保するために企業が徹底すべき指標は次の5つだ。

1.精度

 システムのデータには、有効活用できるだけの情報が含まれていなければならない。例えば、1年前から入力されていない販売実績は、他のデータとの比較ができない。

2.タイミング

 データ入力のタイミングを守ることも、データ品質の基準を満たすことにつながる。入力期限があるデータは、品質保証(QA)チェックや販売注文、在庫確認、タイムシート、製造データなどが挙げられる。

3.信頼性

 信頼性もデータ品質の重要な指標だ。月末売上高が、あるシステムでは2345ドルだが別のシステムでは2335ドルとなるとデータを信頼できない。データには一貫性を持たせなければならない。

4.有効性

 データの有効性の確認も、ERPデータの正確性を確保するのに役立つ。年次の下2桁を入力する人がいるが、4桁全ての入力を求められるケースがある。

 ERPが無効なデータを自動検知できない場合は、定期的な監査とレポート作成で問題を割り出す必要がある。

5.整合性

 データの整合性は情報の質の確保につながる。従業員の名前をシステムに入力する際、スペルを間違えると整合性が失われる。

ERPデータの品質を確保するための4つの対策

 ERPの蓄積データをクリーンに保つため、サプライチェーンのリーダーが実施すべき対策を紹介する

1.エンドユーザートレーニングの実施

 データ品質問題の回避に最適な対策の一つは、エンドユーザーに適切なトレーニングを受けさせ、データ品質の基準を日頃から満たさなくてはならないという意識を植え付けることだ。

 ERPに関する知識のテストなどでラーニング管理システムを利用すれば、インタラクティブなトレーニングを実施できる。

2.ERPの有効性検証機能の活用

 ERPには、ユーザーが入力するデータを検証して、基準を満たしていない場合はエラーメッセージを表示できるものが多い。

 ERPの中には、管理者がビジネスルールをカスタマイズして、ルールを外れたデータが入力されるとユーザーにエラーメッセージが届くように設定できるものがある。例えば、製品が入手できなくなると、その製品への新規注文が入力できなくなるシステムだ。

3.例外レポートの実施

 レポートで、異常なデータ要素にフラグを立てることができる。注文や請求書といったビジネス要素に関するサマリーを、ERPの例外レポートとして日次もしくは週次でユーザーに提供できる。ユーザーはレポートを見ることでデータの正確性を確認できる。

4.マニュアルを完備する

 ビジネスプロセスの文書化もデータ品質の確保につながる。新入社員を指導するマネジャーが、データ入力の一部を間違えて覚えているかもしれない。また、新入社員がデータ入力のやり方を誤解するかもしれない。従業員のデータ入力の手続きを統一してエラーを減らすのにプロセスの文書化が役立つ。

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