Palo Alto Networksのプラットフォーム統合戦略について、投資家は、価格設定や収益への長期的な影響に対する懸念を持っている。
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サイバーセキュリティ事業を営むPalo Alto Networksは、最近開始したサイバーセキュリティプラットフォームの統合戦略に対して顧客から強い反応が見られたと述べたが(注1)、一部の投資家やアナリストから収益への長期的な影響について懸念が表明されていることを認めた。
Palo Alto Networksのケシュ・アローラ氏(会長兼CEO)は、2024年5月20日(現地時間、以下同)の取引終了後に実施された同社の第3四半期に関する決算説明会で、アナリストに対して「前四半期のプラットフォーム化アプローチに関する懸念にもかかわらず、顧客からのフィードバックは勇気付けられるものばかりであったと報告できることをうれしく思う」と語った。
Palo Alto Networksは前四半期に、インシデント対応プロバイダーとして市場で競争するために顧客に無料のインセンティブを提供した(注2)(注3)。これは、顧客に対して、Palo Alto Networksのセキュリティプラットフォームを利用して脅威対策を実行するように促すものであり、業界を驚かせた。
Palo Alto Networksによると、セキュリティに関する支出を同社に統合した顧客は、競合他社との間で締結した契約の期間満了を待つ間、請求が猶予されるという。
2024年4月30日に終了した第3四半期のPalo Alto Networksの売上高は15%増の20億ドルだった。非GAAPベースの収益は前年同期の3億5940万ドルから4億5490万ドルに増加した。
アローラ氏によると、Palo Alto Networksは予想以上に多くの商談を開始し、商談件数は30%増加している。Palo Alto Networksの上位5000社の顧客のうち、約半数が2つ以上のプラットフォームを利用しているという。上位顧客のほぼ5社に1社に相当する約900社は、全てのプラットフォームを完全に統合しているとのことだ。
Palo Alto Networksは、最近情報漏えいを経験したヘルスケアプロバイダーを含む、幾つかの主要な新規顧客を獲得した。アローラ氏によると同社は、このプロバイダーによるインシデント対応を支援した。その後、このヘルスケアプロバイダーは、Palo Alto Networksにおいて史上最高額となる1億5000万ドルの契約を締結した。
Palo Alto Networksのディパック・ゴレチャ氏(最高財務責任者)は「新たな戦略に関連して当社の請求額に大きな変動があった」と述べた。あるアナリストは、プラットフォーム統合戦略がいつまで続くのかについて、同社に明確な説明を求めた。
アローラ氏は、以前に明らかにした通り、プラットフォーム統合戦略は2025年の第2四半期まで続くと繰り返し述べている。
2024年5月13日の週、Palo Alto Networksは、IBMのQRadar SaaSを買収し、IBMのサイバーセキュリティパートナーとなることについて大筋で合意した(注4)。
ゴレチャ氏は、QRadar SasSのクラウド資産を買収するための対価が総額5億ドルであり、これには、今後数年間で残りのオンプレミス顧客をPalo Alto NetworksのXSIAMに移行するための対価も含まれていることを確認した。
ゴレチャ氏によると、QRadarの2023年の売上高は約1億ドルだったという。
(注1)Palo Alto Networks Reports Fiscal Third Quarter 2024 Financial Results(Palo Alto Networks)
(注2)Palo Alto Networks’ free incentives offer sparks investor anxiety(Cybersecurity Dive)
(注3)Palo Alto Networks’ largest customers get no-cost incident response(Cybersecurity Dive)
(注4)Palo Alto Networks signs broad enterprise cybersecurity partnership with IBM(Cybersecurity Dive)
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