CrowdStrikeによるソフトウェアアップデートの不具合を原因とした世界的なIT障害発生後、顧客はリスク分散に向けてベンダーの分散を図っている。これは競合他社のSentinelOneやPalo Alto Networksにとって有利に働く可能性がある。
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セキュリティ企業のSentinelOneによると、2024年7月、CrowdStrikeによるソフトウェアアップデートの不具合を原因とした世界的なIT障害が発生した後、企業はベンダーの分散を検討しているという。これを受けて、SentinelOneのセキュリティプラットフォームに対する需要が高まっているようだ(注1)。
SentinelOneのトマー・ワインガルテン氏(CEO)は2024年8月27日(現地時間、以下同)の決算説明会で「私は『Black Hat』のカンファレンスで多数の企業と話した。これらの企業は将来のIT障害のリスクを軽減するために他製品への意向を検討している」と話した。
「企業が急な決断を下すことはない。移行方法を見極める必要があるが、この移行はエンタープライズセキュリティの広範な領域で当社にとってプラスに働く」(ワインガルテン氏)
ワインガルテン氏は「このシナリオは歴史的な障害によって明らかになった責任とリスクの網を企業が掘り下げる中で、今後何年にもわたって展開されるだろう」と述べた。
カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置くSentinelOneは、2024年7月の障害以来、自社に対する顧客の関心が高まっていると報告したCrowdStrikeの主要な競合企業2社のうちの1社だ。サイバーセキュリティ事業を営むPalo Alto Networksも2024年8月19日の週の初めに(注2)、セキュリティベンダーの多様化を検討している多くの顧客と協議に入った旨を報告した。
この障害により、Microsoftの「Windows」デバイス850万台以上が不具合を起こし(注3)、多くの重要な業界に広範囲にわたる混乱を引き起こした。航空企業は数千のフライトをキャンセルし、主要な病院は手術のキャンセルやその他の処置の延期を余儀なくされ、幾つかの911緊急システムは一時的にオフラインになった。
障害後の需要増加に加えて、SentinelOneは四半期の財務について記録的な結果を報告した(注4)。これらの業績は事前の予想を上回った。
第2四半期の売上高は、前年同期の1億4940万ドルに対し33%増の1億9890万ドルである。2024年7月末時点の情報を基に年換算した経常収益は32%増の8億600万ドルだ。
現在、SentinelOneの第3四半期の売上高は2億950万ドルであり、同社は、2025年度の売上高が8億1500万ドルに達すると見込んでいる。
米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)による「Persistent Access Capability」の取り組みの一環として、連邦機関全体に脅威検知を提供するために、SentinelOneは2024年7月にCISAと契約を締結した(注5)。
(注1)SentinelOne Announces Second Quarter Fiscal Year 2025 Financial Results(SentinelOne)
(注2)Palo Alto Networks CEO touts leads from CrowdStrike fallout(Cybersecurity Dive)
(注3)CrowdStrike, Microsoft scramble to contain fallout from global IT outage(Cybersecurity Dive)
(注4)Q2 FY2025 Letter to Shareholders(SentinelOne)
(注5)SentinelOneR Partners with CISA to Enable Government-Wide Cyber Defense(SentinelOne)
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