AWSをベースに「責任あるAI」を実践する際の方法論が定まりつつあるようだ。アクセンチュアとAWSは以前からAI領域で協業してきたが、いよいよ企業利用向けに「生成AI運用」の実践を視野に入れた取り組みが始まる。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
アクセンチュアは、2024年9月10日、Amazon Web Services(AWS)と「責任あるAI」領域での戦略的協業体制の強化を発表した。
今回の発表はAWSを活用したアクセンチュアの責任あるAIプラットフォーム」(Accenture Responsible Artificial Intelligence (AI) Platform powered by AWS)の拡大を目的としたものだ。
「AWSを活用したアクセンチュアの責任あるAIプラットフォーム」は、アクセンチュアの実証済みのベストプラクティスや、独自の責任あるAIフレームワーク、「Amazon Bedrock」「Amazon SageMaker」などのAWSのAIサービスポートフォリオに加え、「AWS Control Tower」「Amazon DataZone」、可観測性ツールなどを組み合わせたものだ。構成にはアクセンチュアの1000以上の生成AIに関する顧客企業案件と120カ国約75万人のアクセンチュア従業員を対象とした責任あるAIプログラム、AWSとの責任あるAIに関する協業から得た知見を集約したものとされる。
「AWSを活用したアクセンチュアの責任あるAIプラットフォーム」は、モニタリングやテスト、修正のサイクルを運用できる仕組みや、顧客企業が組織全体でコンプライアンスを順守できるよう支援する。また、直感的に順序立てて操作できるよう設計されており、経営層は自社におけるAI活用の準備状況や成熟度レベルを評価でき、複数の業界のベンチマークデータを参照してリスクスクリーニングを実施できる。
顧客企業がポリシーや原則、基準を確立し、実践する際に必要となる下記5つのオファリングで構成される。
アクセンチュアとAWSは共同で、Anthropic(OpenAIの開発メンバーが中心となって立ち上げられた企業)と協力してAIを責任ある形で展開する取り組みを進めている。2023年11月には「Amazon Q」を使いソフトウェア開発やアプリケーション環境のモダナイゼーションを支援する計画を発表した。2023年6月には「Amazon Web Services」上で大規模言語モデルや生成AIを活用してビジネス変革の迅速化を目指す戦略的協業も発表していた。今回の協業はこれらの取り組みに加えて企業の生成AI活用法さらに推し進める内容だ。
アクセンチュア執行役員、AIセンター長である保科学世氏は、生成AIをはじめとする各種AIの活用による企業全体の抜本的な改革を実現すべき段階だとした上で、AI活用にはハルシネーションやバイアスなどのリスクが課題であることを指摘、AIが持つ潜在的リスクに対処することで初めて、中・長期的な成功につながるAI活用が可能になるとして、「包括的なAI戦略を立て、全社レベルでのAIガバナンスの仕組みを構築すること」が必要だと説明する。
アクセンチュアのチーフ レスポンシブルAI オフィサーのアルナブ・チャクラボルティ(Arnab Chakraborty)氏は今回の協業について「AIガバナンスのセットアップ、AIリスク評価、生成AIのテスト、継続的なコンプライアンスサポート、規制管理、AWSワークロードのセキュリティなど、責任あるAIに関する包括的で一貫したサービスを提供」するとしており、顧客企業が責任あるAIを組織全体に埋め込むことを支援する、とその目的を示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.