SlackがAI機能を拡張 競合製品とどう戦うのかCIO Dive

Slackに新しいAI機能が追加されると発表された。日々のコミュニケーションが「楽になる」というが、どのような機能が提供されるのか。

» 2024年10月15日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]
CIO Dive

 2024年9月16日に開催された年次カンファレンス「Dreamforce 2024」で、Salesforce傘下のSlackはプラットフォームに複数のAI(人工知能)機能を追加することを発表した。Slackでの情報共有が「楽になる」、AIの新機能とは?

Slackが新たにAI機能を提供 競合製品とどう戦うのか

 Salesforceは、AIを搭載したエージェント「Slack AI」に対応する新たなユーザーインタフェース「Agentforce」(旧Einstein Copilot)を提供している。

 SlackのAI機能では、Agentforceを活用してユーザーが簡単な質問に対する回答を得たり、ユーザーに代わって予定の調整などの定型業務やアクションを自動化したりといったことができる。

 2024年後半から2025年初頭までに、これらの多くの機能が一般提供される予定だ。有料プランのユーザーは、追加料金を支払うことでSlackのAI機能を利用できる。

 同社はノーコードで利用できる機能やAIを活用した機能を組み込むことで、従来の連携型ソリューションを上回るプラットフォームの機能拡張に注力してきた(注1)。

 こうした変革の中、Salesforceは2023年11月、デニス・ドレッサー氏をSlackのCEOに任命した。

 同氏は、2024年9月16日の発表で「われわれは連携の枠を超えた。毎日、何百万ものチームが顧客データや自動化、そして今やAgentforceまでもシームレスに統合した目的特化型のAIを活用している」と述べた。

 企業はAIの導入による潜在的な利益を得ることに意欲的だが、この技術のリスクを放置しておくと、進歩が阻害される可能性もある。

 「AIについては、特に業界にとって継続的な課題だと感じている」と、Slackのロブ・シーマン氏(エンタープライズ製品担当シニアバイスプレジデント)は「CIO Dive」に語った。精度の観点から、Slackはアウトプットを改善するための幾つかの戦略を展開している。

 同社のプラットフォームでは、生成された回答に引用を追加し、簡単に検証できるようにすることで透明性と信頼性を高めた。顧客は、回答が役に立ったかどうかを製品を通じて直接報告することができる。さらに、Slackは検索対象をファイルや画像に拡大し、より信頼性のある回答を提供できるようにするとシーマン氏は述べた。

 SlackのAI機能拡張に対するアプローチは、ベンダー各社がAIの複雑さの軽減や効率化を実現することで、AI導入のための説得力ある事例を作ろうとする動きの一環だ。

 企業はAI導入に対して多方面からのアプローチを取る傾向があり、幾つかの機能を社内で構築したり、既存のアプリケーションに追加機能を付与して活用したりする。KPMGの調査によると、技術の統合方法を検討する際にデータのプライバシーとセキュリティは最重要課題であり、経営幹部の4分の3がサードパーティーとの連携による影響を懸念しているという(注2)。

 テックベンダー各社は、2023年初めからAI機能の展開を急速に進めている。Salesforceの2024年8月の決算報告によると、AIが取引を後押しし、同社の新規の契約件数は前四半期比で2倍以上に増加していると述べた(注3)。

 他のベンダーも同様に、企業向けAIへの関心から利益を得始めている。Microsoftの「Microsoft Dynamics 365」プラットフォームは、ERPとCRMビジネスアプリケーションに「Microsoft Copilot」が追加されたこともあり、同社の2024年7月の決算報告によると前年同期比19%の売上の伸長を達成した(注4)(注5)。SAP SEの幹部は2024年夏初めの決算説明会で、2024年6月20日までの3カ月間に成立した全てのERPおよび業務分野において、AI戦略が重要な役割を果たしたと述べている(注6)。

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