シニアのAI人材の需要が増加 技術者全体の給与平均を大きく上回るCIO Dive

テック業界全体の失業率が低下している一方で、企業向けAIの需要の増加により、AIや機械学習の専門知識を持つシニア技術者の給与が急上昇している。シニア人材採用の成否がAI戦略にも影響を与えるだろう。

» 2024年11月13日 10時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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 ベンチャーキャピタル企業のMenlo Venturesが2024年10月2日(現地時間)に発表した報告書によると、企業向けAI需要の高まりによりAIや機械学習の専門知識を持つシニア技術者の給与が上昇しているという(注1)。これは、人材紹介会社のHarrison Clarke InternationalとRiviera Partnersの情報に基づくものだ。

シニアのAI人材の給与は?

 同報告書によると、需要の高いカテゴリーにおける個人貢献者(他のメンバーの管理を行わずに自身の仕事で企業に貢献する専門職)の報酬総額は、基本給とボーナスを含めて26万5000〜35万ドルだという。

 Menlo Venturesが支援するスタートアップ企業BrainFightsのティグラン・スローヤン氏(CEO)は報告書の中で次のように述べている。

 「企業は戦略的にAI関連の人材採用に取り組むべきだ。ここ数年で新しいタイプの技術者の仕事とスキルが生まれた。そして、必要なスキルセットは、スタックのうちどのレイヤーで働くかによって異なる」(スローヤン氏)

 AI人材は依然として高額な報酬を得ており、この傾向はAI技術を導入する企業への関心の高まりによって加速している。

 Dice.comのデータによると、シニアAI人材の給与は2023年の技術者全体の平均年収11万1193ドルを容易に上回るという(注2)。AI専門家の供給不足が部門を超えた採用競争を激化させている。

 Harrison Clarke Internationalのフィラス・ソザン氏(CEO)は報告書で「特に応用研究科学者の需要は高い。スタートアップ企業や大手テック企業が人材獲得競争を繰り広げているだけでなく、インキュベーションラボやベンチャーキャピタルが研究科学者を将来の創業者候補として積極的に求めるようになってきている」と述べている。

 組織のさまざまな部門でAIが活用されていることも、IT全体の雇用に影響を与えているようだ。

 こうした需要の高まりを示すように、2024年9月のStack Exchangeの調査によるとAI開発者の平均年収は16万ドルに達し、初めてIT業界の高給な職種トップ10に入った(注3)。

 AI専門家の需要が急増している一方、より広範囲のテック人材市場全体では冷え込みの兆しが見られる。Computing Technology Industry Associationが米国労働統計局のデータを調査したところ、失業率は2024年に入ってから徐々にではあるものの着実に上昇しており、2023年8月の2.1%から2024年8月には3.4%に上昇した(注4)。

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