従業員は生成AIによって自身の業務が縮小されたり代替される可能性があるのではないかと懸念しており、使用者側はそういった不安をケアして人材流出を防ぐ必要がある。
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Grant Thornton Internationalが発表した調査結果によると、米国の従業員の44%が過去12カ月間でAIプロセスが自身の業務に組み込まれたことが分かった。
報告書によると、回答者の28%が自身の業務がAIによって縮小されたり、代替されたりすることを懸念しているという(注1)。
報告書では「そのような従業員も技術を活用してパフォーマンスを向上させる方法を十分に理解していれば、より安心できるかもしれない」と述べられている。
また、The Brookings Institutionの最近の報告書によると、全労働者の30%以上が「自身の業務の少なくとも半分のタスクを生成AIに取って代わられる可能性がある」と考えているという(注2)。
これまでの自動化技術が主にブルーカラーのルーティンワークに影響を与えていたのに対し、生成AIは認知的かつ非ルーティン的な業務に影響する可能性が高く、特に中〜高所得の職業でそれが顕著になるとThe Brookings Institutionは指摘している。
「生成AIは所得を押し上げ、生産性を向上させ、新たな恩恵をもたらす可能性を秘めているが、一方で労働者の雇用や権利を制限し、スキルの価値を低下させ、生活を不安定にするリスクもある」(The Brookings Institution)
Grant Thornton Internationalの調査によると、AIと自動化に関する懸念は現代の労働者が直面する多くの課題のうちの一つにすぎず、他にも燃え尽き症候群の増加や世界的な紛争、パンデミック後のインフレ、そしてストレスの多い政治環境にも対処しなければならない。
調査回答者の32%が過去12カ月間に精神的な幸福感が低下したと答えたが、30%は改善したと回答し、38%はほぼ同じだと答えた。
「ビジネスリーダーはこのような問題を認識し、それが組織の目標達成能力に与える影響を理解することが重要だ。そのためには、企業は採用から定着までのあらゆる側面でリーダーの課題に対する診断と対処をサポートし、燃え尽き症候群を軽減することで、人材の流出を防ぐ必要がある」(Grant Thornton International)
(注1)Grant Thornton survey: Employee burnout continues to surge as mental and emotional stress mount(Grant Thornton Advisors)
(注2)Generative AI, the American worker, and the future of work(Brookings)
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