BroadcomによるVMware買収後のライセンス変更は、IT業界に波紋を呼んだ。中でもVMwareのヘビーユーザーであるAT&Tは永久ライセンスの廃止とサポートの終了に訴えを起こしている。
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2024年11月21日(現地時間、以下同)、チップメーカーBroadcomと通信大手AT&Tはニューヨーク州最高裁判所に対し、「VMware」のライセンスおよびサポートサービスを巡る訴訟で原則合意に達したと報告した(注1)。
AT&Tは2024年8月29日に契約違反を理由にBroadcomを提訴し、VMware導入に対するライセンスサポートの延長を要求するための差し止め命令を求めていた(注2)。両当事者は2024年10月、和解に向けて前進していることを裁判所に報告した(注3)。果たして、どのような方向性で話し合いが進んでいるのだろうか。
和解の条件は公表されていない。両当事者は裁判所に対し、合意をまとめるために2024年12月13日までの猶予を要請した。発表前に両社にコメントを求めたところ、回答は得られなかった。
BroadcomによるVMwareの買収は企業向けIT業界に不穏な波紋を広げた。多くの顧客にとって、製品とライセンスの変更は調達プロセスの大幅な変更とコストの増加を意味するものだった(注4)。
Broadcomは2023年に610億ドルでVMwareを買収した後、すぐに仮想化ソフトウェアスイートのサブスクリプションベースモデルを採用し、永久ライセンスの廃止を発表した(注5)。同社はVMwareのポートフォリオを簡素化し、数百の個別コンポーネントを4つの大規模な製品パッケージにまとめた。
AT&TはVMwareのコストが1050%も増加すると発表した(注6)。同社幹部は「不要なサブスクリプションに法外な費用を支払うか、約8600台のサーバで稼働する7万5000台の仮想マシンの重要なライセンスサポートを失うかという選択を迫られている」と主張した。
Broadcomは買収が完了した直後の2023年12月にこの変更を発表した。同社は2024年9月20日に裁判所に提出した覚書の中で、「AT&Tはこの変更について公正な警告を受けていたが、ライセンス契約の更新を怠ったことでサポートサービスを受けられなくなった」と述べている(注7)。
また、BroadcomはAT&Tのスーザン・ジョンソン氏(エグゼクティブバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャー)がBroadcomのホック・タン氏(社長 兼 CEO)に送った2024年8月19日の電子メールも提出し、その中でVMwareからの移行について述べている。
「当社はVMwareからの移行への投資計画を慎重に進めるとともに、法的手段も視野に入れている。これらはすぐに公になるだろう。別の選択肢があればよかったと切に思う」
裁判長は両当事者に対し、2024年11月22日までに紛争を解決するか、暫定的な差し止め命令の適切な期間について合意するよう求めた(注8)。しかし、BroadcomとAT&Tは2024年11月21日に裁判所に宛てた書簡の中で、合意を文書にまとめるにはもっと時間が必要だと述べている。
裁判所は同日、この要請に対する書簡で延長を認めると回答した(注9)。
(注1)VIA ELECTRONIC FILING AND EMAIL(NYCOURTS.GOV)
(注2)AT&T takes Broadcom to court over VMware support services dispute(CIO Dive)
(注3)AT&T, Broadcom move toward settling legal feud(CIO Dive)
(注4)IT leaders chafe as VMware costs skyrocket under Broadcom(CIO Dive)
(注5)VMware vows to ‘virtualize the entire data center’ with bigger bundle(CIO Dive)
(注6)AT&T claims it faced a tenfold VMware price hike under Broadcom(CIO Dive)
(注7)Broadcom fires back at AT&T in legal battle over VMware support(CIO Dive)
(注8)SUPREME COURT OF THE STATE OF NEW YORK COUNTY OF NEW YORK(NYCOURTS.GOV)
(注9)SUPREME COURT OF THE STATE OF NEW YORK NEW YORK COUNTY: COMMERCIAL DIVISION(NYCOURTS.GOV)
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