ライフルホームズ 「存在しない部屋を削除するAI」を自社開発 事業部とデータサイエンス部が連携

LIFULLは自社開発AIを活用した「おとり物件」検知および自動非掲載機能を開始した。不動産情報の鮮度向上と信頼性確保を目指し、AIで「一社のみ掲載の物件」や「架空物件」を検知、即時非掲載処理を行う。

» 2025年01月14日 10時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 LIFULLは2025年1月9日、不動産情報サービス「LIFULL HOME'S」において、自社開発AIを活用した「おとり物件」の検知および自動非掲載機能の運用を始めた。掲載物件情報の鮮度向上とともに、業界全体が抱える課題の解決を目指す。

 「おとり物件」とは募集が終了しているにもかかわらず広告として残っている物件のこと。おとり物件が残ってしまう背景には不動産会社が物件情報をリアルタイムで更新しきれない現状がある。意図的なものだけでなく、更新漏れや管理の不徹底が原因で発生することも少なくない。このような状況がユーザーの混乱を招き、不動産業界全体の信頼性を損ねる要因となっている。

事業部とデータサイエンス部が協力して成功した事例

 LIFULLは2019年より「おとり物件」の検知技術の研究を進めてきた。これまでも不動産管理会社の保有する物件情報と「LIFULL HOME'S」に掲載されている物件情報の更新状況を照合し、自動的に募集終了物件を非掲載にする仕組みを構築してきたが、今回のAI導入によりさらに一歩踏み込んだ対応が可能となる。

 自社開発したAIではLIFULL HOME'Sの過去データや独自調査による情報を学習し、「一社のみが掲載している物件」や「実在しない架空物件」が高精度で検知されるようになる。AIによる検知結果は自動で非掲載処理が実行されるため、従来の対応しきれていなかったパターンのおとり物件にも対処できるようになるとのことだ。

 LIFULLは2019年10月にAI開発を着手し、データサイエンス部門とともにAIモデルの精度向上に努めてきた。2023〜2024年にかけて実施された調査では、AIによる検知精度が確立され、その成果を基に東京都を中心としたエリアでの運用が決定。AIが予測スコアの高い物件を選別し、確実性の高い非掲載処理を実行する仕組みが開始される。

 グループデータ本部データサイエンスグループ長の嶋村 昌義氏は次のように述べている。

 「今回の取り組みは事業部門と応用研究を推進するデータサイエンス部門が連携して社会課題解決に挑む大きな一歩です。今後もAIの精度向上を図り、適用範囲をさらに広げていくことで、「おとり物件」という社会課題の解決を目指します。」

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