2025年も脱VMwareは続く それでもBroadcomが強気の理由は?CIO Dive

Broadcomによって買収されたVMware。2025年にVMwareから多くの顧客が離脱するという見方もある中で、なぜBroadcomは強気なのか。

» 2025年01月22日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 ある調査によると、これまでVMwareを利用してきた企業が、パブリッククラウドなどに移行する動きは2025年も続きそうだ。

 しかし、VMwareを巨額で買収したBroadcomは強気の姿勢を崩さず、2024年12月に開催された同社の決算説明会でさらなる事業拡大を発表した。

VMware離脱に歯止めかからず なぜBroadcomは強気なのか

 今後さらに多くの顧客が離脱するという見方がある中で、なぜBroadcomは今後を楽観できるのか。

 Broadcomのホック・タンCEOは「VMwareの統合がほぼ完了した結果、2024会計年度のインフラソフトウェア部門の収益が前年度から約3倍の215億ドルに達した」と、2024年12月12日に開催された2024年第4四半期の決算説明会で述べた(注1)。前年度の同部門の収益はわずか76億ドルだったという(注2)。

 BroadcomがVMwareを買収したことで、同社のソフトウェア部門は半導体事業とほぼ同じ規模に拡大した(注3)。同社の半導体事業は主にAIの追い風を受け、1年で301億ドルに急増した。「カスタムAIアクセラレータやXPU、ネットワーキングの強みを生かしたAIの収益は220%増加した」(タン氏)

 2024年第4四半期のインフラソフトウェアの売上高は前年同期比196%増の58億ドルに達しており、「これはVMwareの影響が大きい」とタン氏は話す。同部門は現在、同社の全事業の41%を占めている。

 610億ドルで買収されたVMwareはBroadcomの収益に貢献してきた。しかし、同社が数百種類の「VMware」ソリューションをバンドルし、永久ライセンスを終了してサブスクリプションベースのモデルに切り替えたことは、最上位の顧客層に衝撃を与えた。

 調査会社のForrester Researchによると、仮想化ソリューションスイートとして広く普及しているVMwareは、購入に当たっての選択肢が縮小した上に価格が500%以上高騰した。VMwareが抱える上位2000社の顧客はパブリッククラウドやオンプレミスの代替ソリューションに移行するため、これらの既存顧客におけるVMwareの利用率は2025年に40%減少するとForrester Researchは予想する。

 タン氏によると、2024年11月3日までの3カ月間にVMware事業は勢いを増し、サブスクリプションモデルの課金単位であるCPUコアの予約額は前四半期の1900万ドルから2100万ドルに増加したという。

 VMwareはプライベートクラウドの「VMware Cloud Foundation」(VCF)のバンドルを通じて、「サブスクリプション事業の70%を生み出した」とタン氏は述べた。同社は大手顧客1万社のうち4500社とVCFのフルスタックソリューション契約を締結した。

 VMwareとの統合に一区切り付いた今、今後数年間のBroadcomの成長はAIハードウェアにかかっている。

 「われわれはAI分野における今後3年間の機会を非常に重要だと考えている」とタン氏は述べ、ハイパースケーラーの顧客3社を挙げた。Broadcomは最大手のクラウドプロバイダーに対して、カスタマイズされたAIプロセッサ用のシリコン基盤やXPUアクセラレータ技術、ネットワーク機器を供給している。

 「現在、3社のハイパースケーラー顧客の顧客と協力して数世代にわたる独自のAI XPUロードマップを策定しており、これは今後3年間でさまざまなペースで展開されるだろう。AI関連のXPUやネットワーク製品が対象とする市場規模は、2027会計年度だけで600〜900億ドルに達すると見込んでいる」(タン氏)

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