Microsoftは直近3年間でデータセンターの総容量を2倍以上にするなどAI需要の増加に備えていたが、それでも容量が不足する状況だった。さらなる容量拡大で2025年半ばには需要に対応できる見込みだという。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
Microsoftは2025年1月29日(現地時間、以下同)、「2024年10月1日〜12月31日の3カ月間、AIワークロードの増加に伴い『Microsoft Azure』(以下、Azure)のコンピュート消費が拡大したことによってクラウドの容量の制約に直面していた」と発表した。
エイミー・フッド氏(CFO《最高財務責任者》)によると、同社の帳簿にはまだ売上に計上されていないクラウド契約が3000億ドル近くあるという。
同氏は2025年第2四半期決算説明会で「データセンターの電力供給と設置スペースが不足していた」と語った(注1)。
Microsoftのクラウド事業はこうした容量面での課題が続いているにもかかわらず、売上は前年同期比21%増の409億ドルに達し、四半期総売上の60%近くを占めた。Azureおよびその他のクラウドサービス部門の売上高は31%増で、そのうち13ポイントの成長はAIサービスがけん引した。
LLM(大規模言語モデル)がクラウドリソースを消費する中、Microsoftはインフラ構築に巨額の資金を投入している。同社は2025年度、AI対応のデータセンターに約800億ドルを投じる見込みだという(注2)。
同社のサティア・ナデラ氏(会長 兼 CEO)は2025年1月29日に「当社は過去3年間でデータセンターの総容量を2倍以上に増強しており、特に2024年は、これまでで最も大規模な容量拡張を実施した」と述べた。
MicrosoftはOpenAIの主要支援企業として、Azureエコシステムに大規模なクラウド消費エンジンを追加した。しかし、「ChatGPT」を開発したOpenAIは、AzureのデータセンターでLLMの学習や運用しているため、Azureを利用する顧客とクラウドリソースを食い合う状況に陥っている。
Microsoftは2025年1月初め、連邦政府主導の5000億ドル規模のAIインフラ計画「Stargate Project」の一環として、OpenAIのAzure以外のコンピュートソースを解放した(注3)。しかし、Microsoftはこの合意においてOpenAIのワークロードに関する優先交渉権を持っている(注4)。
Azureの商用予約は前年比67%増と急増し、2024年後半の数カ月は予想を大幅に上回ったという。企業契約の更新や追加購入、既存顧客によるさらなるワークロードの移行契約がこの増加を後押しした。
「『Microsoft Copilot』を最初の四半期に購入した顧客は、過去18カ月間でライセンス数を10倍以上に拡大している」(ナデラ氏)
フッド氏によると、Microsoftは2025年後半には容量不足が緩和され始めると予想している。2025会計年度末の6月30日には、容量は当面の需要にほぼ見合う水準になるという。
ファイナンスリースを含む同社の資本支出は、2025会計年度第2四半期に226億ドルだった。クラウドとAIインフラに対する投資の半分以上は長期的な資産に当たるものであり、それ以外は直近の需要を満たすためのCPUとGPUサービスに投入されたとフッド氏は述べている。
(注1)Press Release & Webcast(Microsoft)
(注2)Microsoft plans to pour $80B into cloud data centers(CIO Dive)
(注3)Trump unveils Stargate, a $500B AI infrastructure push(CIO Dive)
(注4)Microsoft and OpenAI evolve partnership to drive the next phase of AI(Microsoft)
© Industry Dive. All rights reserved.