デンソー、ベテランの知見を民主化 作業時間半減、若手の対応可能業務が拡大

キャディは2025年3月5日、デンソーの工機部門が製造業向けAIデータプラットフォーム「CADDi」を導入したと発表した。製造設備の設計や製作におけるベテラン技術者のノウハウを暗黙知から情報資産として共有する。

» 2025年03月14日 10時00分 公開
[後藤大地ITmedia]

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 キャディは2025年3月5日、デンソーの工機部門が製造業向けAIデータプラットフォーム「CADDi」を導入したと発表した。製造設備の設計や製作におけるベテラン技術者のノウハウを暗黙知から情報資産として共有するのが目的だ。

 デンソーの工機部門は社内向け生産ラインの設計や製作を担う部門で、年間約1500台の生産設備を制作している。今後の10年でベテラン技術者の大量引退が進み、その知見や技能が失われるリスクが顕在化しており、特に製造業を下支えしている専用機業界では若手人材の確保も難しく、技能継承が課題となっている。

 導入したのは図面データの解析や蓄積、検索などができるAIデータプラットフォーム「CADDi Drawer」と、見積やサプライヤーの選定、調達などを支援する「CADDi Quote」。導入で得られた効果は以下の通りだ。

  • 数万点以上の知見を蓄積し、見積業務の時間を半減
  • 部品のグルーピングによる段取り工数の削減
  • ビッグデータ解析を活用した原価低減活動の加速

 従来はベテラン従業員しか対応できなかった業務が若手従業員でも可能になるなど、新しい職場環境の実現にも寄与した。また人材の流動性が高い北米地域ではAIによる図面検索機能を活用し、設備設計業務における類似検索で若手エンジニアの業務効率化にも貢献している。

 デンソーとキャディは今後、3D図面への適用等のCADDiの可能性を拡充する機能開発を共同で推進するとともにアジア地域への展開の検討を進め、グローバルで情報をつなぎ、設備づくりの競争力を最大化することを目指すとしている。

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