警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公開セキュリティニュースアラート

警察庁サイバー警察局は「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公開した。報告によると、前年と比較してフィッシング詐欺が大幅に増加し、深刻な問題となっている。

» 2025年03月15日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 警察庁サイバー警察局は2025年3月13日付の資料で、「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公開した。同報告では、国内のサイバー犯罪の発生状況やサイバー攻撃の傾向、警察の対応状況、国際的な協力の取り組みについて詳細に分析している。

警察庁が明らかにする国内外のサイバー動向 フィッシング詐欺が激増

 報告によると、2024年のサイバー犯罪検挙件数は前年と比べて増加しており、特にインターネットバンキングを標的とした不正送金やフィッシング詐欺が深刻な問題となっている。フィッシング詐欺の報告件数は約172万件に達し、前年から大幅に増加している。

 また、不正アクセス禁止法違反の検挙件数も増加し、企業や自治体を狙ったサイバー攻撃が後を絶たない状況にある。加えて、ランサムウェア攻撃の被害報告も相次ぎ、多くの企業や団体がデータの暗号化による業務停止や多額の身代金要求に直面している。

 さらに、警察庁は国内外のサイバー攻撃の手口についても詳しく分析し、特に国家的背景を持つ攻撃者グループによるサプライチェーン攻撃や標的型攻撃が増加していることを指摘している。具体的には、日本の政府機関や重要インフラを狙った攻撃が確認されており、機密情報の窃取や業務妨害を目的としたサイバー攻撃が発生している。これに対し、国内の企業や組織はゼロトラストセキュリティの導入や多要素認証の強化など、対策の強化を進めているが、攻撃の巧妙化により完全な防御は難しい状況であることが見える。

 警察庁は、サイバー特別捜査部を中心に国内外の捜査機関と連携し、サイバー犯罪の摘発を強化している。特に、暗号資産を悪用したマネーロンダリングや、不正アクセスによる個人情報の窃取・販売に関与する犯罪組織の摘発が進められている。また、フィッシング詐欺対策として、国内のISP(インターネットサービスプロバイダー)や金融機関と協力し、不正なWebサイトの迅速なブロック措置を実施している。加えて、市民への啓発活動も強化しており、サイバー犯罪被害の未然防止に向けた取り組みを強化中だ。

 最後に、同報告は日本のサイバーセキュリティ対策を国際基準に適合させるための施策についても触れている。国際的なサイバー犯罪の取り締まり強化に向けて、INTERPOL(国際刑事警察機構)や各国の法執行機関と協力し、サイバー犯罪者の追跡や国境を越えた犯罪の対処を強化している。今後も警察庁は、国内外の関係機関と連携し、サイバー空間の安全確保に向けた対策を一層強化する方針としている。

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