Nmap 7.96がリリース ドメイン名の名前解決が49時間から1時間へと劇的高速化セキュリティニュースアラート

ポートスキャンツールNmapの最新版「Nmap 7.96」がリリースされた。今回のアップデートでは、DNS処理の並列化によりスキャン速度が大幅に向上し、従来49時間かかっていた100万件のドメイン名の名前解決がが約1時間で完了するようになったという。

» 2025年05月10日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Nmapは2025年5月1日(現地時間)、最新版となる「Nmap 7.96」をリリースした。このバージョンではスキャンの高速化と利便性の向上を目的とした多数の改善および新機能が追加された。特にDNSについては大幅に見直され、大量のホスト名を扱う場面でも圧倒的なパフォーマンスを発揮できるようになった。

 Nmapはネットワークの調査やセキュリティ診断に広く利用されているオープンソースのポートスキャンツールだ。今回のバージョンアップにより、より速く、より柔軟に多様なネットワーク環境に対応できるようになった。

並列ルックアップにより100万ドメインの解決時間を49時間から1時間に短縮

 今回のアップデートでは並列DNSルックアップが実装された。これによって従来49時間かかっていた100万件のドメイン名の名前解決がが約1時間で完了するようになったという。これまで逆引きの際に使用していたエンジンを正引きにも応用することで劇的な高速化を実現した。

 さらにNmapに組み込まれているライブラリー群も一斉に更新されている。OpenSSLやLua、libssh2、libpcap、libpcre2といった主要コンポーネントが最新版へと差し替えられ、現代の環境における互換性および安全性の向上が図られた。

 「Windows」版ではパケットキャプチャードライバー「Npcap」がバージョン1.82へと更新された。これにより、VLANヘッダの取得や高速なパケット送出、SR-IOVアダプターのサポートなど、より高度なネットワーク制御が可能になった。

 また、スクリプトによる自動化機能を提供する「NSE」(Nmapスクリプトエンジン)も強化された。新たに「mikrotik-routeros-version(MikroTik製ルーターの管理サービス「WinBox」からRouterOSのバージョンを取得)」「mikrotik-routeros-username-brute(CVE-2024-54772を使いMikroTik製ルーターに対しWinBoxユーザー名をブルートフォース攻撃)」「targets-ipv6-eui64(MACアドレスからIPv6アドレスを生成)」の3本のスクリプトが追加され、合計で612本に到達している。

 この他、GUI版の「Zenmap」に「ダークモード」が追加され、NmapがTCPポートスキャン時に誤って「filtered」と表示していた不具合を修正。IPプロトコル255への対応、コマンドラインとファイルの併用によるターゲット指定の柔軟化など、細かな改良も数多く盛り込まれている。また、スキャンエンジン「Nsock」やネットワーク通信ツール「Ncat」にも改善が加えられ、SSL通信の安定性向上や、従来のnetcatに近い挙動への対応など、実用性の向上が図られた。

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