Broadcomがゴリ押しするVMwareの「選択と集中」 ついに“彼ら”も標的にCIO Dive

VMware買収後、低価格帯製品の顧客を「切り捨てた」と言われるBroadcom。これまでVMware製品が対象だった、同社の「選択と集中」の対象が拡大している。Broadcomが二桁成長を達成した背景に迫る。

» 2025年07月18日 11時35分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 大手通信企業BroadcomによるVMware関連の「選択と集中」は、終わりを知らないようだ。

 Broadcomは2025年6月5日(現地時間、以下同)の決算説明会で(注1)、「VMware Cloud Foundation(VCF)」というプライベートクラウドプラットフォームに顧客企業を移行させることに成功したと強調した。

Broadcomが取り組む「さらなる選択と集中」

 Broadcomのホック・タンCEOによると、2023年11月に610億ドルでVMwareを買収して以来(注3)、同社は大企業の優良顧客1万社のうち87%をVCFのバンドル製品に移行させた。「VMwareの買収からの18カ月間、VCFの販売が好調だったことにより、当社の基盤となるソフトウェア事業の年次経常収益が二桁成長を達成した」(タン氏)

 Broadcomは、VMware製品のラインアップやライセンスの変更によって、優良顧客を高価なパッケージ製品に移行させることに成功したわけだ。そして同社は手を緩めることなく、新たな「選択と集中」に乗り出している。どういうことか。

 まず、Broadcomの決算内容を詳細に見ていこう。同社のカーステン・スピアーズ氏(最高財務責任者兼最高会計責任者)は決算説明会で「Broadcomのインフラソフトウェア部門の収益が前年比で25%増加し、2025年第2四半期の売上高150億ドルのうち66億ドルを同部門が占めた」と述べた。同社の半導体部門は84億ドルを計上し、四半期の売上高の56%を占めている。

 BroadcomはVMware買収後の1年間で、VMware製品のラインアップやライセンス方針、価格モデルに大幅な変更を加え(注4)、VMwareのエコシステムに大きな変化をもたらした。数千に及ぶ製品を統合し、ハイパースケーラーのサービスに代わるプライベートクラウドとして提供することが、この戦略の中心だ(注5)。

 タン氏は2025年6月5日に次のように述べた。

 「最新のプライベートクラウドをオンプレミス環境に構築するために、顧客はVCFをますます活用するようになった。これによりワークロードをパブリッククラウドから戻せるし、最新のコンテナベースのアプリケーションやAIアプリケーションも実行可能になる」

 調査会社のIlluminasが2025年5月に発表したレポートによると(注6)、Broadcomは、1800人のIT意思決定者の間でプライベートクラウドへの関心が急増していることを確認したという。回答者の半数以上が、今後3年以内に新たなワークロードをプライベートクラウドで展開することを「優先事項」と考えており、3分の1の企業は「パブリッククラウドのワークロードの一部をオンプレミスのプラットフォームに既に移行した」と回答した。

 BroadcomのVCF部門でプロダクトマーケティングを担当するプラシャント・シェノイ氏(バイスプレジデント)は、2025年5月のブリーフィングで次のように述べた。

 「多くの企業が、パブリッククラウドへの支出が制御不能になっていると感じ、クラウド戦略を見直し始めている。より堅ろうなセキュリティを実現し、コストを予測しやすくするためにワークロードをプライベートクラウドに回帰させている」

廃止された「Registered(登録)」層

 Broadcomによる買収の直後、VMwareのパートナーエコシステムには大きな衝撃が走った。1万8000社以上の再販業者がBroadcomの「Advantage program」への移行を求められた。しかしその後、Broadcomは2025年初頭からVCFの導入を促進するために、パートナーシップを活用する方向に舵を切った(注7)。

 Broadcomのパートナー企業は、2025年6月1日に再び衝撃を受けた。Broadcomがアメリカ大陸およびアジア太平洋・日本地域におけるVMwareの認定再販業者の数を削減したからだ。

 Broadcomでグローバル営業およびパートナー部門に所属するブライアン・モーツ氏(シニアバイスプレジデント)はブログに投稿した記事で次のように述べた。

 「パートナーに投資をより集中させ、より手厚い支援を提供するためにBroadcomはVMwareの再販業者向けの『Advantage Partner Program』を4階層から3階層に簡素化する」

 Broadcomのローラ・ファルコ氏(グローバルパートナープログラム・マーケティングエクスペリエンス責任者)は、2025年6月6日付けの電子メールで次のように述べた。

 「今回、関与がほとんどない多数のパートナーが含まれる『Registered(登録)』層を廃止した。この層を取り除くことで技術認定やコンサルティング、成果重視のサービスに積極的に取り組むパートナーに支援やリソース、インセンティブを集中させられる」

 Broadcomは、この変更で影響を受けるパートナー企業に対し、現在保有している未完了の顧客アカウントをクローズするための60日間の猶予期間を設けた。

 Broadcomは影響を受けるパートナー企業や顧客について具体的な数は明らかにしなかった。「現在、Broadcomはこの移行を積極的に管理している。顧客へのサービスが途切れないよう、現場チームや流通チームに必要なツールと可視性を提供している。これはエンドユーザーに当社製品を届ける流通を最適化するチャネル戦略からの撤退ではない。現代のクラウドファーストなIT環境において、真の価値を提供できるパートナーが全ての顧客対応を担えるようにするための取り組みだ」(ファルコ氏)

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