リコーはOpenAIのオープンウェイトLLM「gpt-oss-120B」をオンプレ環境で検証し提供を開始した。今秋、同社のスターターキットにも搭載予定で、生成AIの業務活用を高度化し企業の選択肢を拡大させる。
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リコーは2025年8月8日、OpenAIが同年8月5日(現地時間)に公開したオープンウェイトモデル「gpt-oss-120B」をオンプレミスで検証し、動作確認を完了したと発表した。同日から顧客への個別提供を開始する。
gpt-oss-120Bは1170億パラメーターを備えた大規模言語モデル(LLM)だ。複雑な推論や高度な文書作成、専門性の高い質問応答など多様なタスクに対応している。高度なコード生成やツール連携によるデータ解析、論理推論とエージェント統合において優れた性能を発揮する。リコーは自社のLLM環境構築技術により、この規模のモデルをオンプレミスで効率的に稼働させることを実現した。
同社はgpt-oss-120Bの個別提供を開始するとともに、2025年秋には国内販売会社のリコージャパンが提供する「RICOH オンプレLLMスターターキット」への搭載も予定している。このスターターキットは、オンプレミスGPUサーバにリコー製700億パラメーターのLLMや生成AI開発プラットフォーム「Dify」、必要なソフトウェアをプリインストールし、環境構築から運用支援までを提供するソリューションだ。AIの専門人材が不在の組織でも安全かつ迅速に生成AIを業務利用できる設計となっている。Difyを利用することで、業種や業務に合わせた生成AIアプリケーションをノーコードで開発できる。
生成AIの普及に伴って業務の効率化や付加価値の高い働き方を支えるため、より大規模かつ高性能な言語モデルの需要が高まっている。リコーは自社製LLMの開発に加え、最適な動作環境構築やサポートサービスを含む総合的なAIソリューションを提供してきた。本モデルは高い性能と柔軟性を兼ね備え、企業における生成AI活用の新たな可能性として期待されている。
リコーは1980年代からAI開発を進めており、2015年には画像認識を活用した深層学習AIの開発に着手し、製造分野での外観検査や振動モニタリングに適用してきた。2021年には自然言語処理を活用し、文書分析やVOC分析による業務支援をスタートしている。2022年からはLLM研究開発を開始し、2023年には独自LLMを発表した。日英中3言語対応の700億パラメーターLLMを開発するなど、オンプレミスに導入可能なLLMの提供を進めてきた。加えて、音声認識AIの研究にも取り組み、音声対話型エージェントも提供している。
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