Lanai Softwareは、従業員端末上で生成AIツールの利用を検知するサービスを発表した。従来型の監視手法では捉えきれなかった「シャドーAI」の全貌を可視化できるのが強みだ。
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米国のセキュリティベンダーLanai Software(以下、Lanai)は2025年9月10日(現地時間)、従業員端末で稼働する人工知能(AI)ツール監視サービス「AI Observability Agent」 を発表した。ネットワーク監視や、承認済みの生成AIツールリストを作成するといった従来型の監視では把握できなかった「シャドーAI」の利用を可視化できるようになる。
LanaiのAI Observability Agentが登場した背景には、企業による生成AIツールへの投資拡大と、従業員が実際に使っている生成AIツールの利用状況との乖離がある。AI Observability Agentを先行的に導入、試験運用した企業を対象にLanaiが実施した調査によると、従業員が実際に使っている生成AIツールの89%は自社のIT部門が把握できていなかった。
AI Observability Agentの強みは技術構成にある。軽量AIモデルを従業員端末に展開し、CPUやGPUのリソースを最小限に抑えつつ生成AIツールの利用をリアルタイムに検知する。従業員が入力したプロンプトを逐次解析して、機密情報を入力していないか、規制違反のリスクはないかを即座に判断する。これにより、従業員がどの生成AIツールを使っているかだけでなく、どのように使っているかを把握できるようになる。
Lanaiによると、企業の従業員はOpenAIの「ChatGPT」やAnthropicの「Claude」といったAIチャットbotだけでなく、SalesforceのAI機能群「Einstein」やMicrosoftのAIアシスタント「Microsoft Copilot」など、既存の業務アプリに組み込まれたAI機能も積極的に活用している。その結果、自社が規定している生成AIツールの利用ルールに違反するリスクと業務生産性向上の両面が交錯しているという。
Lanaiはさらに、ある企業の動向を紹介している。その企業では、情報セキュリティ部門が「全てのシャドーAIをシステムから排除した」と確信していたものの、AI Observability Agentを導入した4日後には27個のシャドーAIツールの使用を発見したという。
Lanaiのレクシー・リース氏(CEO) は「シャドーAIは脅威ではなく業務生産性の源泉だ」と述べている。続けて、「生成AIツールの使用を制御するのではなく、その価値を伸ばしリスクを抑えるガバナンスが必要だ」と指摘している。Lanaiの共同創業者で、元VMware CTOのスティーブ・ヘロッド氏も「AI Observability Agentを使うことで、ネットワーク監視では見えないプロンプトの実態を把握できる」と説明する。続けて、「AIツールに対する監視がネットワークからエッジに移行する動きは、サーバ監視から仮想マシン単位の監視に移行する動きに似ている」と説明する。
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