ITエンジニア3200人が選ぶ、オフィス出社が「肯定」できる条件【調査】

ITエンジニアの満足度は出社頻度によって大きく異なり、柔軟な勤務形態の層で高かった。一方で、特定の条件を設定することで、オフィス出社が受け入れられる傾向が示された。

» 2025年12月17日 07時00分 公開
[後藤大地ITmedia]

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 SHIFTは2025年12月12日、全国のITエンジニア約3200人を対象とした「オフィス出社に関する意識調査」(期間:2025年10月20日〜11月4日)の結果を公表した。調査の結果、働き方への満足度は出社頻度によって二極化し、頻繁に出社する層よりも、柔軟な勤務形態の層で満足度が高いことが明らかになった。

 一方で、特定の条件を設定することで、オフィス出社が受け入れられる傾向が示された。その条件とは。

オフィス出社が「肯定」できる条件

 現在の出社頻度については、「毎日出社」(28.4%)が最多となった。業務内容や企業文化などの事情により、対面での対応が求められるケースが一定数存在しているとみられる。「月1回以下」(25.1%)や「週1〜2回」(25.8%)と回答した人も多く、テレワークによる勤務を中心とした働き方が広がっている様子が示された。調査全体を通じて、ITエンジニアの勤務状況が均一化しておらず、多様な形態が併存している状態が確認された。

 地域差も明確となった。関東では「毎日出社」(22.5%)が少なく、テレワークとオフィス勤務を併用する働き方が広まっていると読み取れる。関東以外の地域では「月1回以下(北海道30.1%、東北29.6%、中部26.8%、近畿24.0%、中国四国27.9%、九州沖縄29.2%)」の回答が相対的に多く、「毎日出社(北海道45.2%、東北46.9%、中部41.5%、近畿33.6%、中国四国46.5%、九州沖縄40.5%)」と二極化する傾向が示された。

 現在の働き方への満足度においては、出社頻度が高い層で肯定的な回答が47.4%と約半数にとどまった。不満の理由としては、「通勤時間の負担」が最大の要因とされ、「家事や育児との両立の困難」「自己研さんに使える時間の減少」などが続いた。頻繁な出社が求められる勤務形態に対し、肯定的な姿勢を持つ回答者が存在するものの、満足度が高いとは言いがたい。

 これに対し、「週1〜2回出社」や「月1回以下」の働き方を選択している層においては、77.5%と高い満足度が示された。柔軟な勤務形態が日常生活との調和に寄与しており、出社頻度の違いが満足度に影響している可能性が浮かび上がった。

 オフィス出社を肯定的に受け入れられる条件として挙がったのは、「出社日や時間を柔軟に選べること」が最多で、68.2%と約7割が選択した。通勤時間帯を調整できる点や、生活リズムに合わせられる点が評価されているようだ。続いて「自分の働き方にあったオフィス環境がある」(44.8%)、「デスク環境に関する補助、好きな機器を選べる制度がある」(44.6%)など、職場環境に関する要望も多く寄せられた。

オフィス出社してもよいと思える条件(提供:SHIFT)

 遠隔勤務環境で自分好みの作業環境を用意した経験を持つ人が多いと推測でき、オフィスの設備面が働く場としての魅力につながるとみられる。自由記述では「オフィス(サテライトオフィス)が自宅の近辺にあること」や「飲食費の補助、社食などの福利厚生の充実」など経済面の負担軽減も挙げられた。

 オフィス出社が必要と感じる場面としては、「上司やプロジェクトメンバーが出社しているとき」(53.3%)、「新しいプロジェクトの開始時や目標設定をするとき」(52.3%)、「後輩のトレーニングをするとき、新しい業務を教えてもらうとき」(51.0%)など、人と関わる場面が多く選ばれた。対面でのやりとりが業務の円滑化につながると考える人が増えていることが読み取れる。自由記述では「ホワイトボードを使用したいとき」や「気分転換のための出社」「メンバーとのランチ会や飲み会があるとき」といった意見も寄せられた。

 今回の調査により、オフィスは単に業務の場所としてだけでなく、交流やリフレッシュの空間としての機能も求められていることが示された。勤務形態の変化が続く中で、ITエンジニアの働き方に関する志向は多様化しており、柔軟な制度設計や環境整備が重要性を増している状況が明らかになった。

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