「データが集まらない」営業現場で起こすSFA改革 「kintone×AI」による“勝ちパターン”の見つけ方ノーコード×AIで目指すデータドリブン営業

「営業データが集まらない」──。属人化や社内情報の分散に悩む現場が、kintoneとAIで“勝ちパターン”を可視化し、営業改革を目指している。そのプロセスとは。

PR/ITmedia
» 2025年12月25日 10時00分 公開
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 企業経営において、意思決定の精度向上にはデータ活用が欠かせない。その前提として「使えるデータ」が蓄積されている必要がある。多くの企業がSFAやCRMを活用して営業担当者に日々の活動内容を入力させている。営業活動がデータ化されることで、経営陣やマネジャーは現場の活動や事業の状況を把握でき、最適な施策を講じやすくなる。

 データが一定量まで集まったら、その内容を分析することで事業活動の傾向を導き出せる。自社の強みや課題を客観的に捉えられるため、事業戦略の検討にも役立つはずだ。

 だが、現場の立場からすれば、「日々の業務で手いっぱい」という状況にデータ入力作業が追加されることになるため、敬遠されがちだ。その結果、SFAやCRMといったシステムを導入しても有用なデータが十分に集まらず、形骸化してしまうこともある。

 富山県滑川市に本社を置く製造業のスギノマシンも、こうした課題に頭を悩ませていた。しかし2023年以降、大胆な施策を次々に打ち出すことでデータドリブン営業のプロセスを確立しようとしている。早くも営業現場にデータ活用の文化がしっかり根付き始めているという。

 同社の成功のコツは「テクノロジーありきではなく、経営課題から逆算するアプローチ」を採用したことにある。この方針を実現する手段として選んだのが、ノーコードツールの「kintone」(キントーン)とAIだ。

photo サイボウズ主催のイベントで、スギノマシンの取り組みが紹介された

膨大な商品情報が提案のタイミングを逃す要因に

 スギノマシンは、高圧水技術を武器に高圧水切断装置や高圧水バリ取り洗浄機、粉砕機などを製造するモノづくり企業だ。40カ国以上に代理店ネットワークを展開し、自動車業界をはじめ航空・宇宙業界や医薬品・化粧品業界など多様な業種・業態の企業に商品を販売している。製造業としては異例とも言える高い利益率や創業以来赤字を出していない堅実な経営手腕などによって、業界では知られた存在だ。

 2025年9月にはビジネス系のテレビ番組で同社が大々的に取り上げられたことから、「地方発のグローバル企業」としてビジネスパーソンの間でも広く知られ始めている。

 順風満帆に見えるスギノマシンだが、同社の山田義則氏によると、好調な業績の裏で営業面の課題が顕在化していたという。

 「当社は、高度な技術力を駆使して開発した商品と営業力を強みに利益を出してきました。しかし、お客さまの多様なニーズに応えるために商品を個別開発してきた結果、商品の種類やバリエーションが膨大な量になっていました。その結果、商品の情報が社内の各所に散在し、新たな提案のために過去の商談を参考にしようと思っても必要な情報をすぐに見つけ出せない状況に陥っていたのです」

 顧客企業を取り巻く事業環境が変化するスピードも加速していた。外部環境が激しく変わる中、顧客からスギノマシンに寄せられる要望もこれまでにない速さで変わった。これに即応して適切に提案するためには、社内に蓄積されたデータを有効活用する必要があった。ところが、そのための仕組みが確立されていなかったのだ。

 「当時は『情報の分散』『ノウハウの属人化』『商品ごとの縦割り』といった課題に阻まれ、営業活動の全体像を正確に捉えられず、限られた情報に頼った活動になっていました。営業活動に関する定量的なデータを収集・蓄積し、それを活用してロジカルな計画立案や判断を行うデータドリブン営業への転換を図りました」

photo スギノマシンの山田義則氏(経営企画本部 営業企画部 部長)

スギノマシン社長が語る「データドリブン」の意義

 スギノマシンの代表取締役社長である杉野岳氏は、データドリブンの意義について次のようにコメントする。

 スギノマシンは、2026年で創業から90年になります。従業員数は1500人、売上高300億円の企業に成長しました。会社の規模が大きくなるにつれ、情報が分散・分断され、全体像を捉えることが難しいという課題に直面しました。自分が知る狭い情報を頼った活動ばかりになってしまったため、システマチックに解決する必要があると考えました。

 従業員の頭の中にだけ入っていた情報をデータとして外に出し、他の情報とひも付ける。それを活用し、その結果をまたデータとして共有する。この蓄積と共有、活用のサイクルが、「営業におけるデータドリブン」の基本であると解釈しています。また、定量かつファクトベースの仕組みが整えば、よりロジカルな計画立案や進捗(しんちょく)管理、実施・継続の可否判断ができると考えています。

 この取り組みによって、データに基づいた営業のアプローチ方法の深化と精緻化を実現したいと考えています。これは経営戦略を転換するための足掛かりであり、今後は全部門に対してデータドリブンで戦略を立案・実行するなど、活動の拡大を目指しています。

photo スギノマシンの杉野岳氏(代表取締役社長)

kintoneでSFAとCRM、MAを統合し、営業の見える化と即応力を強化

 山田氏がリーダーを務める営業改革チームは、kintoneを活用して新システムの構築に着手した。同社はkintoneを2017年に導入して、主に案件管理に利用していた。kintone活用の一環で「日報アプリ」を開発したが、営業の活動内容やスキルレベルまで管理するには足りない機能も多かったという。

 そこで、kintoneを使って「新日報アプリ」の開発に着手。営業活動の情報を収集・可視化するSFAと、顧客マスターデータを統合管理するCRM、展示会などのイベント情報を扱うMA機能、これらの多くを備えた業務アプリを目指した。

 「私は前職で海外製SFAシステムの導入を担当していたため、SFAに求められる要件を把握しています。そのノウハウを生かし、同等の機能をkintoneで安価に再現することに挑戦しました」

 新日報アプリをはじめ、kintoneに蓄積されたデータをグラフィカルに可視化するダッシュボードも搭載している。

photo 新日報アプリの画面イメージ。同アプリをはじめ、kintoneに、蓄積されたデータをグラフィカルに可視化するダッシュボードも搭載している(出典:山田氏の講演資料)《クリックで拡大》

 「当社が提案する商材は、1カ月ほどで売り上げにつながることもある工具類から契約までに2〜3年を要する原子力関連機器まで多岐にわたり、商談から契約までのリードタイムも商材によって大きく異なります。そこで、商談の進捗(しんちょく)を正確に把握して次のアクションに最適なタイミングで通知できるように、初回の商談を必ず『初回日報』として登録する仕組みを組み込みました」

 営業現場のデータだけでなく、自社のWebサイトやメールマガジンからの流入情報、展示会で得た商談データなども新日報アプリに集約。リードごとにスコアリングし、成約確度の高い案件を営業に提供できる体制を整えた。

photo kintoneをハブとしたシステム連関図(出典:山田氏の講演資料)《クリックで拡大》

手間のかかる実績入力をAIで効率化し、営業データの活用を本格化

 kintoneでデータドリブン営業の基盤を築いたスギノマシンだったが、営業担当者は商談対応に追われて実績データの入力にまで手が回らないという新たな課題が生まれた。

 「実績データを新日報アプリに入力しない営業担当者にその理由を尋ねると『入力作業の負担が大きい』『入力するメリットを感じられない』という声が上がりました。データが集まらなければ分析も戦略立案もできません」

 山田氏らは、AIを活用して実績データ入力を効率化する新たな仕組みを導入した。商談を録音して音声データをAIが自動でテキスト化・要約して議事録を作成。これを新日報アプリに連携させる。これらの機能の実装にはkintoneのプラグインなどを利用し、データとして蓄積する仕組みを構築した。

 営業担当者の負荷を大幅に軽減すると同時に、入力内容の品質や精度のばらつきを防ぐことができた。商談の重要なポイントを聞き漏らすといったヒューマンエラーをカバーする効果もあったという。

 AIを使った新機能は2025年4月にテスト運用を開始し、11月には実務への適用を段階的に進めている。同社はこの取り組みを含めてAI活用のロードマップを策定し、中長期的な視点で活用を推進している。

 「ロードマップの第1ステップでは、AIを活用して商談や会議データを効率的に収集・可視化することで現場の負担を軽減し、データ化が難しかった定性的な情報を蓄積できるようにしています。第2ステップでは蓄積データを分析して成功・失敗要因を抽出し、“勝ちパターン”のモデル化を目指します。第3ステップでは、確立した勝ちパターンを現場に展開して営業スキルの平準化と底上げを図ります」

photo 営業担当の実績入力負荷をkintone×AIで解決(出典:山田氏の投影資料)《クリックで拡大》

「AI活用は目的ではなく手段」 スギノマシンが示すデータ活用の道

 kintoneを使ってデータ活用の基盤を構築し、そこにAIを取り入れることで運用上の課題解決にも取り組んでいる。山田氏は現状に満足することなく、AIをより有効活用してさらなる価値創出を目指している。

 「kintoneによる業務アプリによってデータドリブン営業やデジタルマーケティングの仕組みを構築しています。その価値を最大化するために、今後は社内のあらゆるシステムの運用を支援するAIプラットフォームの構築を目指します。AIエージェントを活用して営業をはじめとする各種業務の効率化や高度化を実現したいと考えています」

 一方で、山田氏は「AI導入ありきの活動ではうまくいかない」とも語る。

 「AIはあくまでも業務改革の手段の一つです。『とにかくAIを使おう』という目的で始めるのは本末転倒です。まずは業務課題を明確にし、その解決に必要であればAIを適用するという順序で考えなければAI活用はなかなか進みません」

 スギノマシンの事例のように、kintoneとAIを組み合わせたソリューションを容易に構築・導入できれば企業のビジネスが加速する。この動きを支援するため、サイボウズは、kintoneに各種開発中のAI機能を提供している。既に「検索AI」「レコード一覧分析AI」「アプリ作成AI」「スレッド要約AI」などが公開されており、今後も新たなAI機能がリリースされる予定だ。

 公式のAI機能だけではなく、サイボウズのパートナー企業からもkintoneにAI機能を追加できるプラグイン製品が多数提供されている。これらを活用すればkintoneでのAI活用がより容易になるはずだ。kintoneを軸にしたデータ利活用をAIでさらに推進したい企業にとって、このエコシステムは将来の可能性を大きく広げるだろう。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年1月18日