メインフレーム上の基幹系システムを、AI時代にどう進化させるか――モダナイゼーションで描き出す変革シナリオ「継続が移行か」を超えた戦略

世間で高まる「脱メインフレーム」の掛け声とは裏腹に、いまだに多くのミッションクリティカルな基幹システムがメインフレーム上で稼働している。問題の本質は、そのテクノロジーが古いためではない。真に問われているのは、長年の運用で積み上がった属人化やブラックボックス化、保守を担う人材の固定化・高齢化、新技術に取り組む余力の不足といった「運用、組織、投資」に関する課題の解決だ。ビジネスの優先度とリスクを見極めながら着実な進化を目指す変革シナリオと、より選択肢が増えたモダナイゼーションを進めるためのソリューションを解説する。

PR/ITmedia
» 2026年05月11日 10時00分 公開
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メインフレームを取り巻く「レガシー論では語れない現実」

 メインフレームは「レガシーの最たるもの」と認識されやすく、世間では「脱メインフレーム」という言葉が飛び交っている。ところが実際には、金融機関や製造業の基幹システムの多くが、今もメインフレーム上で稼働している。

 キンドリルジャパンの執行役員でありコアエンタープライズ & zCloud事業本部長を務める中尾友謙氏は、「メインフレームのテクノロジーそのものは、決して古いわけではありません」と、違った見解を示す。その上で、現在のメインフレームが抱えている本質的な問題として指摘するのが、「運用の属人化」「人材の固定化・高齢化」「AIやクラウド連携をはじめとする新技術への対応余力不足」の3つの課題だ。

ALT キンドリルジャパン 中尾友謙氏

 なお、メインフレームは国産ベンダーが提供するものと、海外製(IBM)の2つに大別できるが、このどちらを使用しているかによっても、ユーザー企業の受け止め方は異なっている。

 国産メインフレームでは、テクノロジーの進化は見られない。それどころか一部のベンダーはすでにメインフレーム市場からの撤退を表明しており、使い続けたくてもそれができないという現実を突き付けられている。

 これに対してIBM製メインフレームは、現在も新機能が追加され続けている。2025年には、AI処理能力を強化する新たなプロセッサやアクセラレーターの提供を開始した。

 キンドリルジャパンの斎藤竜之氏(コンサルト・プラクティス事業本部 コアエンタープライズ & zCloud メインフレーム・モダナイゼーション・サービス事業部 事業部長)は、昨今の状況変化を次のように言及する。

 「IBM製メインフレームにこのアクセラレーターを追加することで、低レイテンシが求められるAI推論はもとより、LLM(大規模言語モデル)の追加学習といった高負荷なワークロードも実行できます。メインフレームを再び戦略的に使っていこうという潮流が生まれており、それを支える新たな道具立てがそろってきました」

 さらに中尾氏は、「AIを用いてシステム運用を自動化・効率化するAIOps(AI for IT Operations)が、メインフレーム領域でも適用可能となりました。熟練エンジニアの経験やノウハウをAIに学習させることで先に述べた3つの課題を解決し、メインフレームの運用を持続できる土壌が整いつつあります」と続ける。

メインフレームを使い続けるためのAIを活用した高度化シナリオ

 このようなトレンドの中、メインフレームモダナイゼーションを支援しているのが、キンドリルだ。同社はシステムをメインフレーム上でモダナイゼーションする「Modernize on」や、他のプラットフォームとメインフレームを統合可能にする「Integrate with」、メインフレームから一部あるいは完全に移行する「Move off」と3つのアプローチを提唱している。メインフレームを継続利用するにせよ、脱却を目指すにせよ、どちらも現実的な選択として支援する。

 「われわれはお客さまを『現状維持か、全面刷新か』という2択に追い込まないことを重視しています。メインフレームを有効活用しながらクラウドとのハイブリッド構成を組み、オンプレミスの機能を段階的にオフロードする、あるいはメインフレームからクラウドへ全面移行するなど、お客さまのいかなる要望にも対応可能なソリューションを提供しています」(斎藤氏)

ALT キンドリルジャパン 斎藤竜之氏

 メインフレームの継続利用を求めるユーザー企業には、ハードウェア、OS、ミドルウェアを安全・確実に最新化する「メインフレーム最新化」や、CPUスパイクに焦点を当てパフォーマンスのチューニングを施す「ワークロード最適化」を支援できる。

 サポート終了の予定がある国産メインフレームのユーザー企業にとって有用な選択肢は、既存のメインフレームを、「IBM Zシリーズ」をクラウド型で提供する「zCloud」へ移行支援するソリューションだろう。国産メインフレーム上のアプリケーションやデータベース、JCL(Job Control Language)をIBM Z環境用に変換してリホストする「Caravel zShift」を活用したモダナイゼーションサービスを提供している。

 メインフレームを使い続ける場合でも、「テクノロジーの進化を止めない」の高度化シナリオを描ける。このことは、国産メインフレームのユーザー企業に対し、単なる継続利用にとどまらず、メインフレーム上で進化を図るという新たな選択肢を提示することになる。

 IBM ZのAIワークロード対応は先述したが、それ以外の技術でも、例えば「キンドリル メインフレーム向けエージェンティックAIサービス」はAIOpsをサポートするオープン統合プラットフォームの「Kyndryl Bridge」と連携して、メインフレームのインフラとアプリケーション全体にインテリジェントな自動化、予測分析、インサイトを提供する。

 「運用ログの分析、障害兆候の検知、キャパシティーや変更影響の判断など、これまで熟練エンジニアの経験則に頼ってきた判断をAIが支援します」と中尾氏は説明する。

 このように、「メインフレーム × AI」はもはやコンセプトではなく、すでに実装段階に入っている。この点からもメインフレームが単なるレガシーな技術でないことが分かるだろう。

より低下した移行難易度 メインフレームから脱却する出口戦略

 一方で、メインフレームからの脱却(Move off)を選択した場合はどうか。こちらもキンドリルは幅広い選択肢によって、現実的なアプローチに基づく出口戦略をサポートしている。

 例えばクラウド環境へのリホストは「TmaxSoft OpenFrame」を活用し、既存アプリケーションのロジック修正を最小化して、クラウドおよびオンプレミスのオープン環境へのリホストを支援。アセンブラ資産の移行も可能だ。リライトは「Base100 Caravel Converter」により、COBOLやPL/Iなどの資源をJavaに変換し、同様にオープン環境へのリファクタリングを支援。一部アセンブラを含む多様な資源に対応する。

 その他、Amazon Web Services(AWS)が提供する「AWS Blu Age」の資格保有者数が国内最多 という強みを生かし、COBOLやFORTRAN、PL/Iなどの資源をJavaに変換し、AWSへのリファクタリングを支援する。

 なお、ここでも重要な役割を果たすのがAIだ。メインフレーム上で稼働していた基幹システムを、クラウドを含む異なるアーキテクチャに移行する際のリスクの見極めは容易ではない。その高度な判断をAIが支援する。

 「既存のソースコードをAIで分析して仕様書を起こしたり、テストケースやテストデータを生成したりといったことも、今では可能になりました。これまで多大な労力を要していた作業の自動化が進んで移行難易度が下がっており、メインフレーム環境に準じた非機能要件をスムーズに実装することが可能となりました」(中尾氏)

キンドリルの強みは実運用を熟知したエンジニア集団

 ここまで述べてきた多様なモダナイゼーション戦略を一貫して支援するキンドリルの強みは、自らが長年にわたりメインフレーム運用と移行に携わってきた実績にある。

 「例えば1本のバッチ処理が既定時間内に終了しなければどんな影響が生じるのか、トランザクション処理はいつピークを迎えるのかなど、私たちはミッションクリティカルな基幹システム特有のリスクと常に向き合ってきました。こうした実運用を熟知したエンジニア集団があるからこそ、メインフレームのモダナイズに際しても、何を守り、何を捨てられるのかを見極めるられるのです」(斎藤氏)

 実際に国外では金融機関を中心に、キンドリルの支援の下ですでにメインフレームからクラウド環境への移行を完了した事例が多数ある。国内でもIBM製メインフレームへのリホストを目指したプロジェクトが現在進行中だという。

 また、キンドリルは新たな人材育成に向けても独自の施策を展開している。「メインフレーム+1」という方針に基づくものだ。

 「狙いは、モダナイゼーション過程で見落としがちなメインフレーム特有の要件・制約、運用前提などを、しっかり考慮できる人材を増やすことにあります。ベテランが若手社員をけん引しつつ、メインフレームの基礎知識に加え、クラウドのアーキテクチャや各種モダナイゼーションツール、さらにはAI関連のスキル習得や資格取得に努め、実案件を通じて次世代の『メインフレーム×最新技術』に長けた複合人材を育成しています」(斎藤氏)

 先述したように、メインフレームモダナイゼーションの本質は、メインフレームの存続か、廃止かではなく、その生かし方にある。高信頼・高処理能力というメインフレームの価値は、AI時代でも揺らぐことがないからだ。だからといって、現在の構成や運用のまま将来も不変でよいわけではない。最も重要なことは新たなテクノロジーに追従し続けることにあり、正しいワークロードを最適な基盤で稼働させるための変革シナリオを描くことが求められる。

 キンドリルはメインフレームの中長期の利活用を見据えたコンサルテーションから、プラットフォームの最適化、アプリケーションの移行まで一貫した実装知とロードマップ作成ノウハウを携え、企業の変革に伴走し続ける。

※本稿は、キンドリルジャパンからの寄稿記事を再構成したものです。

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