生成AIを使うほど増えるトークンの支出。アクセンチュアが調査したところ、その8割は明確な事業成果に結び付いているとはいえなかった。3社に1社が年間予算を既に超過する中、トークンを経営資源として管理する先進企業が実施している取り組みとは。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
アクセンチュアは2026年9月17日、日本を含む世界17カ国の企業を対象にAI活用に関する調査結果を発表した。同調査によると、企業はAI予算の平均25%をトークンに充てており、50%の企業が、AIコストを押し上げる要因の上位3項目の一つとしてトークン消費量を挙げていた。
さらに、調査対象企業の3社に1社が、既に年間のトークン予算を超過していた。経営層は、今後2年間でトークン消費量が78%増加すると見込んでおり、予算の逼迫(ひっぱく)はより深刻化する見通しだ。
一方で、トークン価格が25%以上低下した場合、「それを契機にAI関連支出全体を増やす」と回答した経営層は95%に達する。企業の多くはAIに関して、コスト削減よりも利用拡大を選ぶ可能性が高いとアクセンチュアはみている。
トークン支出が膨らむ一方で、トークンコストを抑え、投資対効果を可視化する方法は複数ある。それらは実際にどこまで使われているのか。そして、トークノミクス(AIトークンを経営資源として捉え、コストと価値を管理する考え方)の先進企業は何を徹底しているのか。
アクセンチュアの調査によると、トークン支出のうち、定量的な財務成果との関連が証明できているのは2割未満にとどまる。AI投資とROI(投資収益率)の関連性が不透明な企業は多く、自社にとって最も重要なAI活用事例についてさえ、成果に対するコストを算出できている企業は35%にとどまった。
「モデルルーティング」(最適なAIモデルへの自動振り分け)は、経営層がAIコスト効率化における最も重要な打ち手と考えているにもかかわらず、実際に導入している企業は30%にとどまった。アクセンチュアは、米国労働省の職業情報データベース「O*NET」に含まれる職務タスク9368件を分析し、フロンティアモデル(最先端の高性能AIモデル)の能力を真に必要とするタスクは全体の1割程度にすぎないと試算している。ところが、実際にはAIリクエストの54%が、タスクに必要な水準を上回る高性能モデルに振り分けられているという。
AIの利用量に応じてコストを各部門に配分する「チャージバック」(社内課金)は、コスト最適化やAIが生み出す価値の可視化を促進する有効な手法の一つとされている。しかし、実際に導入している企業は7%にとどまった。
トークン支出の管理に特化した専門チームを備えている企業は37%で、48%の企業では、その管理責任がIT部門と財務部門に分散していた。
トークノミクスの先進企業は、次の5つの打ち手を重視していることが明らかになった。
アクセンチュアによると、これらの5つの打ち手を実践する企業ほどAIへの投資意欲を維持しながら、コスト管理と成果創出を両立させやすくなるという。
アクセンチュアの分析によると、使用責任の明確化、モデルルーティング(モデル割当の最適化)、AI導入前の可視化を徹底することで、今後2年間で見込まれるトークンコストの増加を最大44%抑制できる可能性がある。加えて、AI支出のうち財務的成果との関連を証明できる割合についても、60%高められる可能性があるとしている。
また、AIモデルの性能そのものだけでなく、トークン支出を管理・最適化し、事業成果に結び付ける経営の仕組みを構築できるかどうかが、AI投資の巧拙を左右する鍵になるとしている。
なお、今回の調査は、年間売上高10億米ドルを超える企業のCIO(最高情報責任者)、CTO(最高技術責任者)、CFO(最高財務責任者)、CEO(最高経営責任者)など経営層750人を対象に、2026年7月に実施された。対象国は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、中国、イタリア、インド、日本、メキシコ、サウジアラビア、スペイン、シンガポール、南アフリカ、アラブ首長国連邦、英国、米国の17カ国だ。
なぜ「判断軸」のないアーキテクチャは破綻するのか? AI開発時代に残された人間の役割
日本通運×アクセンチュアの124億円訴訟に学ぶ、なぜ大規模開発は“燃える”のか
日本企業の“鬼門”、アクセンチュアは突破できるか? OpenAIとの協業で狙う「業務効率化超え」
「大企業の知見を成長企業に」 アクセンチュア新事業、日本での“攻め方”は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.