料金に次いで重要視しているのが、FOMAエリアの整備と訴求である。すでに発表されたとおり、FOMAのサービスエリアはドコモ各社の努力の結果、今年9月にはムーバ相当にまで拡大する(7月12日の記事参照)。ドコモ東海でもFOMAエリアの拡大と品質向上には腐心してきた。
「ドコモ東海のエリアでは、すでにムーバ基地局数の5割増しまでFOMA基地局を増設しました。しかし、東海のお客様に満足していただくには、僕はそれでもまだ足りないと考えています。(FOMAの)品質をよくするには、基地局整備を無制限でやっていかなければならない。僕は設備担当の責任者に『いくら金を使ってもいい。無制限で(基地局整備を)やれ』と言っています。もちろん、無制限とは言っても工事担当者やメーカーの稼働といった限界はありますけれど、FOMAのエリア整備は最優先でやらなければならない」
榎氏によると、ドコモ東海では最終的にムーバの倍以上のFOMA基地局を整備する予定だという。さらにFOMAのIMCS(Inbuilding Mobile Communication System : 屋内基地局)については、マンションや商業施設のオーナーから依頼があれば「お金をいただかず、無料で設置する方針」(榎氏)をとっている。ユーザーからのFOMAエリア改善要望の受付も熱心に行っており、ユーザーの不満がでたエリアはすぐに調査し、可能なかぎり早く改善しているという。
「デザインとか着うた、写メールのように目立つものはいろいろあるわけだけど、携帯電話の基本はコミュニケーションツール。そこで大切なのは、エリア、品質、料金なんです。
僕は、インセンティブを積んで0円端末を作るというのは、我々も販売店さんにとってもメリットがないと思っています。端末の安売りをするのではなく、(エリアや料金などの)“ドコモのよさ”をしっかりと浸透させていけば、売れ始めていったときの振れが少ない。ボクシングのボディブローのように、一発では相手を倒せないかもしれないけど、徐々に徐々に(相手に)勝っていく。そういう戦い方をしてきたし、続けていきます」(榎氏)
ドコモ東海に限らず、FOMAのエリア改善の効果はここ1年で如実に現れており、端末ラインアップや料金面での訴求力も向上している。それらの結果として、ドコモの純増数は大きく伸びて、auに押されていた一時期とは見違えるほど強くなった。「(全国的に見ても)ドコモのボディブローは効いてききつつある。秋のMNPには十分に間に合うと思う」(榎氏)
10月24日のMNP開始を前に、各キャリアはこれから新端末・新サービスの発表を行っていく。そこで何が現れるかは未だヴェールの向こうであるが、榎氏にはいくつか注目のサービスがあるという。
「最近のドコモ東海の営業データでいうと、他キャリアとの戦いで一番効果があるのが“デコメール”なんです。auやボーダフォンからドコモにキャリア変更していただいたお客様の調査をしているのですが、統計を取ると、その第1位の理由が“デコメール”。特に若い女性への訴求力は強い」(榎氏)
以前行ったモバイルコンテンツフォーラムへインタビューを行ったときも(7月12日の記事参照)、モバイルコンテンツ分野の成長率で筆頭になったのが、デコメール用の素材コンテンツ販売という話が出ていた。デコメール関連市場は確かに広がっている。
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