IT投資抑制をものともしない国内DCサービス市場:IDC Japan調べ
自社運用のシステムをアウトソーシングして運用コストを減らしたいと考える企業が増え、国内データセンターサービスの市場は年平均12.7%の拡大を見せる見通しだ。
ユーザー企業の情報システムをデータセンター(DC)で運用、監視する「データセンターサービス」の市場規模が年平均12.7%で成長することが、調査会社IDC Japanの発表で明らかになった。経済危機に伴い、企業がIT投資を抑えようとする中、自社で運用している既存システムを外部のデータセンターに委託する動きが目立ち、市場が活性化するとIDCは予測する。
同社によると、2008年の市場規模は前年比13.3%増の7669億円。2008年から2012年までは年平均12.7%で市場規模が拡大し、2012年には1兆2000億円を超える見通しという。
市場の拡大をけん引するのは、サーバの監視や運用を受託するホスティングサービス。安価な月額料金のレンタルサーバの利用が増えている。システムの利用者の増加に伴い、サーバの処理負荷も増え、運用すべきサーバの台数が膨らんでいることが背景にある。
サーバの設置場所を貸し出すコロケーションサービスも盛況だ。大規模の企業やポータルサイトなどを運営するネット企業が積極的に採用している。こうした企業の多くは、関東地区のデータセンターにサーバの設置場所を求める。そのため、関東地区のデータセンターのシェアはコロケーションサービス全体の69%を占める。関東地区のデータセンター需要は今後も堅調に拡大するとIDCは見る。
一方で、景気の停滞が長引けば、国内におけるデータセンターサービスの市場拡大にも影響が出る。特に基幹システムの運用を外部に委託する場合、サービスの初期導入費用が膨らむ傾向にある。企業のIT投資意欲が低下する中、初期費用が大きいサービスの新規導入を中止する企業も増える可能性があるとIDCは分析する。同社ITサービスリサーチマネジャーの伊藤未明氏は「初期費用を抑えたデータセンターサービスや、仮想化を活用してシステムのリソース(資源)を効率的に運用できるサービスの開発が進む」と予測している。
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