学習院、「ネットブート型」シンクライアント1700台を採用:国内最大規模の導入に
学校法人学習院は、学生向けクライアントPCをシンクライアント端末に入れ替え、4月1日から運用を開始した。ネットブート型のシンクライアントを採用したことで、メンテナンスの省力化や情報漏えいの防止が見込めるという。
学校法人学習院は、学生向けのクライアントPCにシンクライアント端末約1700台を導入し、4月1日から運用を開始している。シンクライアントを提供したNTTデータが4月14日に発表した。
NTTデータが提供するシンクライアント「CoreBoot」を採用した。OSやアプリケーションをLANに接続したiSCSIストレージに集約し、必要に応じてネットワーク経由で起動する「ネットブート型」と呼ぶシンクライアント。端末がCoreBootサーバにアクセスするのは起動時のみで、起動後はiSCSIストレージにアクセスして動作する。複数人が同時に利用した場合でも端末の処理能力が落ちにくいのが特徴だ。
1台のクライアント端末でプログラムの更新やセキュリティパッチの適用を実施すれば、すべてのクライアント端末に反映される機能も備える。一部の端末でOSやセキュリティソフトの更新を忘れるといったことが無くなり、運用管理の負担を減らせる。
シンクライアントシステムの動作環境は、CoreBootサーバが2台(冗長化構成のサーバは除く)、iSCSIストレージが8台、クライアント端末が約1700台。システムの構築はネットワンシステムズが担当した。
学習院では、事務職員用とは別に、1990年代前半から学内にPCとインターネット環境を用意し、学生向けに提供していた。インターネットに接続するPCにはセキュリティパッチを適用するなど、メンテナンスが必要だった。また、管理者がネットワーク経由でソフトウェアを配信してアップデートを実施していたが、一部で発生する配信ミスとその修復作業に時間を費やしていた。メンテナンスの省力化とネットワークの強化、情報漏えいの防止を見込んだ学内インフラの再構築を検討し、CoreBootを採用した。
NTTデータによると、ネットブート型のシンクライアントの導入事例としては国内最大規模になるという。
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