Twitterマーケティングの成功事例を分類する【前編】:企業とTwitterの向き合い方(3/3 ページ)
企業がTwitterをマーケティングやプロモーションに生かす事例が出始めている。そこでは各社がそれぞれ創意工夫を凝らしたメッセージを打ち出し、ユーザーの取り込みにつなげている。企業Twitterの成功例を2回に分けて紹介する。
(2)セールスマン型
ブロードキャスト型に次いで発想しやすいのが、販売促進、つまり商品やサービスを買ってもらうためにTwitterで宣伝を流すという手法だ。セールスマン型と呼べるこの手法についても、成功例が生まれ始めている。
その最たる例がDellの取り組みだ。Dellは製品のプロモーションにおいて10以上のアカウントを設置しており、製品ニュース、タイムセール情報、問い合わせへの回答などを流している。日本法人のデルも4月にアカウント「@ DellConsumer_JP」を開設した(Dellのアカウント一覧は「www.dell.com/twitter」で確認できる)。
公式なTwitter入門ガイド「Twitter 101」でも取り上げられているデルの事例は、Twitterマーケティングの代表例として紹介されることが多い。実際、Dellはアカウントを開設した2007年からの2年間で300万ドルの売り上げをTwitter経由で達成したと発表しており、多くの企業の目をTwitterに向かわせた。日本法人でもTwitter経由での売り上げが予想の1.5倍を上回るペースで伸びているという。
Twitterで販売促進ができるのは、電子商取引(EC)サイトを持つ企業だけとは限らない。例えば米国では、大都市で商売をする屋台のTwitter活用が増えている。「いまどこで店を出しているか」「何時までこの場所にいるか」「今日はどんなメニューを用意しているか」といった情報を提供する際に、Twitterのリアルタイム性が大いに役に立つというわけだ。ロサンゼルスで韓国風タコスを販売しているKogiのアカウント「@kogiBBQ」は、4万人以上の人々がフォローしている。Twitterでのみ告知される今日の出店場所を知った人々が、毎晩店舗に押し寄せるそうだ。店舗の集客にもTwitterが一役買っていることが分かる。
セールスマン型は、ブロードキャスト型と同じように「フォロワー数を増やしてメッセージを配信する」ことが基本だ。しかし新聞社の最新ニュースなど情報そのものに訴求力がある場合とは異なり、セールスマン型の活用では何かしらの施策を講じないと、フォローする人の数は伸びない。そこで各社はタイムセール情報やディスカウント情報など、「Twitterでしか得られない情報」を流すことで、フォロー数を増やそうとしている。ブロードキャスト型と同様に、フォロワーやターゲット層のTwitter上での行動パターンに合わせて情報の配信日時や内容をカスタマイズする取り組みも始まっているようだ。
Dellの例からも分かるように、企業からの一方的な宣伝で終わりにするのではなく、ユーザーからの質問に答えるといった対応までも行っている企業は多い。これは第4回の記事で説明する「コミュニティー型」に近い手法であり、双方向のやり取りを通じてフォローした人に価値を提供して、接点を保つというアプローチだ。
ただしセールスマン型の最終目的は「購入してもらうこと」であり、効果測定の対象は商品やサービスが「どれだけ売れたか」である。付属的な行動の効果をどこまで測定し、どこまで売り上げに貢献したと認めるかが、セールスマン型のTwitter活用を継続するか否かの判断の分かれ目となるだろう。
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著者プロフィール:小林啓倫(こばやしあきひと)
日立コンサルティング シニアコンサルタント。1973年2月26日生まれ。東京都出身。筑波大学大学院(地域研究研究科)修了。国内のシステムインテグレーターでERPコンサルタントとしてキャリアを積んだ後、米マサチューセッツ州のBabson Collegeでアントレプレナーシップを学び、MBAを取得。外資系コンサルティング会社、ベンチャー企業を経て、2005年に日立コンサルティングに入社。「シロクマ日報」「POLAR BEAR BLOG」など、複数のブログを執筆するブロガーでもある。Twitterのアカウントは「@akihito」。URLは「http://twitter.com/akihito」
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