グローバルプライベートクラウドに商機あり:世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(2/2 ページ)
激しいシェア争いが繰り広げるBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国市場におけるシェア獲得に向け、日本企業は海外事業の展開強化とグローバル規模での経営の可視化を実施することが重要だ。
グローバルプライベートクラウドの環境構築を目指す
では、本業の付加価値に結びつかない部分とはどこを指しているのだろうか。ICTのレイヤーを、大きく3つに分けて整理をしてみたい。
- ルータやホスティングまで含めた「ネットワークレイヤー」
- 自社のシステムを動かすハードウェアやソフトウエアの「共通プラットフォームレイヤー」
- 業務アプリケーションや業務プロセスを扱い、経営の見える化を支援する分析ツールなどの「上位レイヤー」
「ネットワークレイヤー」と「共通プラットフォームレイヤー」は業界標準の採用やアウトソースの検討対象となり、他社との競争優位の源泉とはならない。つまり、これらのレイヤーはグローバル規模で共通化し、アウトソースにシフトさせることが鍵となる。企業が注力すべきなのは、「上位レイヤー」であり、業務プロセスの改善や経営の見える化を実現するためのツールとして自社向けにカスタマイズして活用していくことが、企業の競争優位を働かせていくための重要なポイントとなるだろう。
昨今、クラウドコンピューティングというキーワードが注目されているが、グローバル規模で自社向けのクラウド環境を実現するのが、グローバルプライベートクラウドである。しかし、世界各国の拠点が、プラットフォームも個別のアプリケーションも共通化するというのは現実的には難しい。そのため、中長期的にはグローバルプライベートクラウドの環境を目指しながらも、段階的に環境を整えていくことを検討する必要がある。
以下レイヤー別に取り組んでいくべき概要を列挙する。
ネットワークレイヤーでは、グローバル規模でネットワーク設計・構築をし、統一的にネットワークの運用管理できる体制を整えることが必要だ。各国でネットワークの申し込みや管理をするのではなく、総合窓口を設けて運用していく方が効率的である。
共通プラットフォームレイヤーでは、アジアや米国、欧州などの拠点別のデータセンターを活用し、サーバやハードウェアは共通化してアウトソースする。共通化されたリソースを各拠点で最大限に有効活用することによって、コスト削減と事業の生産性を高めることができる。
上位レイヤーでは、企業経営を可視化できる戦略ツールとして活用する。本件はアウトソースするのではなく、自社にあわせたカスタマイズを実施し、ITを経営に生かしていく展開が求められる。
まとめ
世界市場の厳しい競争環境の中では、経営の可視化と本業への集中を目指し、その手段の1つとしてグローバルプライベートクラウド環境の構築展開させていく戦略は、企業のIT戦略に中において重要な役割を占めていくことになるだろう。
次回は、ポイントを5つに分けてもう少し具体的に整理をしていきたい。
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