Cisco、好業績ながら消極的な予測の理由は
Ciscoの8〜10月期決算は増収増益だったが、電話会見で注目を集めたのはチェンバーズCEOが“エアポケット”と称した問題だった。
米Cisco Systemsの2011年第1四半期(8〜10月期)の売上高と純利益は大幅な増加をみせた。コラボレーション、ビデオ会議、データセンターという、同社幹部らが重要な成長市場とみているすべての事業で収益が上がり、同四半期中に新たに1900人雇用した。
だが、多くの事業での好調な結果にもかかわらず、11月10日(現地時間)に開催された業績発表後の電話会見でアナリストらの注目を集めたのは、ジョン・チェンバーズCEOが“乱気流”あるいは“エアポケット”と称した同四半期の課題だった。
チェンバーズ氏によると、公営企業、CATV、消費者市場でこうした問題が発生したという。これらの問題を考慮し、同社は第2四半期の収益成長率を、アナリストらの予測よりも低い3〜5%と見込んだ。
だがチェンバーズ氏は、2011年通年の売上高は前年比9〜12%増加する見込みだと語り、第1四半期に問題はあったがCiscoの長期的な企業努力は強力だと会見中に何度も強調した。
「われわれの方向性には大いに自信がある」と同氏は語った。
Ciscoの同四半期の売上高は前年同期比19.2%増の107億5000万ドル、純利益は同8%増の19億ドルだった。
だが、最も注目を集めたのは、公営企業そのほかの領域における問題だった。受注額がCiscoが当初発表していた同四半期予測よりもおよそ5億ドル低かったのだ。チェンバーズ氏は、Ciscoが扱っている製品の性格上、常に正確に販売を予測するのは難しいと指摘した。とはいえ、同社は通常であれば予測通りか、それを上回るとも語った。
「めったにないことだが、販売予測を誤った」と同氏は会見で述べた。
Ciscoの事業規模や領域の広さ、IT業界全体へのリーチを考えると、同社の業績結果は共振を呼ぶ可能性がある。また、同社の四半期収支にはほかのIT企業のものと異なり10月が含まれている。アナリストらはチェンバーズ氏に、Ciscoの不調は同社固有の短期的な問題なのか、業界全体の不調の兆しなのか尋ねた。
チェンバーズ氏は、これは一時的な問題ではあるが、Ciscoは対処する必要がある、と語った。公営企業向け事業はCiscoの全事業の約22%を占めている。世界的な経済不振により、米国や中欧といった国家だけでなく、州レベルの政府までもがIT投資を再検討せざるを得なくなっている。同四半期における州政府からの受注高は、前年同期比でおよそ25%減少した。また、CATV業者からの受注高は35%落ちている。
チェンバーズ氏は、Ciscoはこうした事業のペースダウンを予測していたと述べた。「予想よりも早く発生したことには驚いている」と同氏。
Ciscoはネットワーク製品からより幅広い領域へと精力的に事業を拡大しており、従来のライバルである米Juniper Networksなどに加え、米Hewlett-Packard(HP)、米Dell、米IBMとも競合するようになってきている。だがチェンバーズ氏は、「UCS(Unified Computing System)」戦略によるデータセンター事業、コラボレーション、仮想化、クラウドコンピューティングといった領域での成長が、同社に収益をもたらすだろうと述べた。
「クラウドから家庭向けモバイルビデオまで、われわれの新市場への参入能力は、速度も規模も拡大している」と同氏は会見で語った。
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