「ぴあ」復活の原動力はWindows Azure 300作品の映画情報をクラウドで配信
今年7月に休刊した雑誌「ぴあ」の映画情報が、Windows Azureや電子書籍サービスを利用したWebサービスとしてよみがえる。
今年7月に休刊した雑誌「ぴあ」が、Webサービスになってよみがえる――日本デジタルオフィスと日本マイクロソフトは12月15日、電子書籍ポータル「ぴあ+〈plus〉」のシステム基盤として、両社の電子書籍クラウドサービス「DO!BOOK[SV]」を提供したと発表した。ぴあ+〈plus〉は16日に公開される。
DO!BOOK[SV]は、ユーザーが登録したPDFファイルをHTML5で閲覧可能な形式に自動変換し、電子書籍としてWeb上に公開するというサービス。作成した電子書籍は、PC、スマートフォン、タブレットなど、端末の種類を問わずにWebブラウザ上で閲覧できる。日本デジタルオフィスが8月から提供している。
同サービスの基盤には、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Windows Azure Platform」が採用されている。Windows Azureのストレージ機能やサーバ機能などを利用することで、「スマートフォンなどから一度に大量のアクセスが殺到した際も、Webサーバを他に用意せずにWindows Azureだけでさばけるようにした」(日本マイクロソフトの平野和順 業務執行役員パートナー&クラウド推進本部長)という。
DO!BOOK[SV]はこのほか、読者がズーム機能などを利用して電子書籍のどこに注目しているかを分析する「ヒートマップ分析」機能や、読者の閲覧履歴や閲覧時間を分析する「アイトラック分析」機能を搭載している。両機能はWindows Azureのデータベース機能「SQL Azure」によって実現したという。
ぴあ+〈plus〉は、「今週の映画情報」を電子書籍として無料で配信するWebサイト。ユーザーは同サイトにアクセスすれば、約300作品の映画情報を閲覧できるようになるという。また、電子書籍上に設置した専用ボタンからTwitterにツイートできる「はみだしYOUとPIA+〈plus〉」機能も近日中に搭載する予定だ。
「ぴあ+〈plus〉は明日サービスをスタートする予定だが、実はまだ肝心の映画館のスケジュール情報を入力していない」と、15日午後4時ごろの会見に臨んだ ぴあ メディア局映画グループの岡政人氏は話す。同氏によると、映画業界では上映の前日まで上映スケジュールが分からないことが多く、週刊誌だった当時は刊行上の問題にまでなっていたという。
だが今回、クラウドで情報を配信するWebサービスへと形を変えたことで、直前に届く映画館のスケジュール情報にも即座に対応できるようになったという。岡氏は「このようなスピード感と、大量のアクセスがあっても維持できるようになったことなどはクラウド化のおかげ」と話している。
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