データセンターの日本開設で顧客開拓に自信 マイクロソフト・樋口社長:2014年 新春インタビュー特集(2/2 ページ)
「デバイス&サービスカンパニー」への転身を図る日本マイクロソフト。2014年はその真価が問われる重要な時期だ。戦略の方向性などを同社の樋口泰行社長に聞いた。
とにかくクラウド事業を伸ばす
――2014年の経営戦略は?
多くの日本企業が、生産性や競争力を高め、イノベーションを起こそうとしています。そうした中で、オンプレミスで使っていたシステムをそのままクラウドへ移行するというシナリオは非常に関心が高いのです。そこで2014年はクラウド事業を全速力で伸ばしていくのが日本マイクロソフトの大方針で、昨年と比べて数倍も高い目標を掲げています。
クラウド事業における大きなトピックスとなるのが、日本でのデータセンター開設です。これによって、公共や金融分野の企業も安心感を持ってサービスを利用できるようになるでしょうし、Office 365のデータセンターもできるだけ早期に日本に持ってきて、顧客にさらなる価値を提供したいと考えています。
また、通信事業者との協業も重要になってきます。当たり前のことですが、クラウドサービスは通信回線がなければ提供できません。顧客がデバイス、Office 365、回線をワンストップで導入できるようにソリューションを整備するほか、これまでのように企業のIT部門にだけライセンスを販売するようなモデルではなく、通信事業者と連携して、経営企画や総務といった部門にも提案するようなモデルを作っていくべきです。
――データセンター開設に伴い、金融や公共以外で重点を置く業種はありますか。
新しいワークロードを取り込んでいくために、ソーシャルメディアやモバイルゲームなどの事業を展開する新しい会社に着目しています。そうした事業においてレイテンシー、つまりデータ遅延はビジネス上の大きな問題になります。日本のデータセンターを活用すれば、その課題はクリアになり、ほぼリアルタイムでデータ処理が可能になるでしょう。
――Windows XPのサポート終了まで残り90日を切りました。4月時点におけるXP搭載PCのインストールベースが10%未満という目標を掲げていますが、現状と見通しはいかがですか。
予定通り進んでいます。逆に移行ニーズの高まりを受けて、パートナーのリソースなどが足りなくなる状況にあるため、ユーザーに対してはなるべく早目に動いてもらうよう繰り返し声を掛けています。この点がクリアになれば目標通り10%未満を達成できるととらえています。ただ、オフラインのユーザーに対する喚起など、引き続き移行を促進していく責務があります。
樋口さんが来て会社が変わった
――日本マイクロソフトの社長に就任して間もなく6年になります。これまでの経験から、リーダーとして特にこだわっていること、譲れないものを教えてください。
どんなときでも日本の顧客から信頼されなくてはなりません。例えば、グローバル企業が全体最適を図るといった場合、それが日本にとっては最適でないことが多いわけです。しかし、いくらグローバル戦略といえども、きちんと日本市場には日本流の戦略を着地させる必要があります。そのために本社とコミュニケーションを重ねるわけです。
外資系企業が陥りやすい罠なのですが、本社のやり方だけをそのまま当てはめる会社はうまくいかないケースが多いです。たとえ短期的な利益のために正しいことかもしれませんが、長期的な観点で見ると顧客にとっては正しいことではありません。人材の登用も同様です。日本で信頼されるような人材か、本社の戦略をただ実行するような人材とではまったく違います。
信頼されるためには、絶対に顧客を裏切ったり、逃げたりしてはいけません。顧客の立場に身を置き、彼らにとって正しいことを続けていれば、顧客もきちんと理解を示してくれるはずです。手前みそですが、「樋口さんが来てからマインドやメンタリティーの面で以前のマイクロソフトと比べて変わった」と言ってもらえるようになりました。
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