東芝、節電推進型ビジネスPC新モデル 漏えい対策ソフトも
東芝が法人向けの大画面スタンダードPC 2機種を投入。9時間動作のバッテリーで「業務時間まるごとピークシフト動作」が可能。内部不正対策を強化できる情報漏えい対策ツールも用意する。
東芝は6月4日、法人向けの大画面スタンダードPC2機種を発表。15.6型の「dynabook Satellite B35/R」、17.3型の「dynabook Satellite B37/R」を2015年6月8日から下旬にかけて順次発売する。
新機種はTCOの削減と生産性の向上を望むオフィスワークシーンのスタンダードPCとして開発。省電力性を向上させたインテルの最新プラットフォーム(第5世代インテルCore Uプロセッサー)、省電力CPUの性能を引き出す同社独自の技術、約9時間の長時間動作を実現する標準バッテリー(15.6型モデル)を備えた。9時間動作の性能と従来より備えるピークシフトコントロールソフトウェアにより、電力使用量が増えるビジネスタイムをまるごとバッテリー動作でカバーする制御も可能。ユーザーに意識させることなく節電対策を実施できる点をアピールする。
また、ビジネスPCに望まれる頑丈さや堅牢性とともに、ボディを最薄部16.9ミリ(15.6型モデル)に薄型化し、持ち出し時や収納時を含めた利便性やデザイン性も高めた。Windows 7プリインストール(Windows 8.1 Proのダウングレード権を利用)、有線LAN、アナログRGB端子、HDMI出力、4つのUSBポートを標準で備え、低廉モデルへの暗号化セキュリティチップ(TPM)標準化や書き込みできないDVD-ROMドライブの選択肢など、情報漏えい対策を考慮したオプションメニューもそろえた。CPU、光学ドライブ、無線LAN、Microsoft Officeの有無などを自社需要にあわせてカスタマイズできる。
大型画面の17.3型モデルは、従来のデスクトップ型を代替するシーンに訴求する。これまでの外付けディスプレイに匹敵する画面サイズで作業効率を確保しながら、省スペース性と可搬性、省電力性、バッテリー内蔵による停電対策といったノートPC型のメリットを両立する。
また、デバイスの紛失や盗難による第三者の不正アクセスや内部不正対策のためのPC暗号化ソフト「SmartDE」も別途用意する。パフォーマンスを落とさず内部ストレージをまるごと暗号化し、PCにUSB接続する外部ストレージの利用制限も制御できるもの。新バージョンのVer 2.7はスマートフォン(iOS、Android)の接続も制限できるようにした。接続してもメディアデバイスとして使えない(見えない)よう制御し、悪意ある第三者や内部不正者からのデータの持ち出しを防げる。WindowsエクスプローラやiTunesから認識されず、AndroidデバイスはMTP/PTP接続に加えAndroidデバッグモード接続も禁止できる。
ソフトはライセンスと年間利用権を購入して使う形態。管理サーバ(IIS+SQL Server)を立てて一元管理できる「オンライン管理版」と管理者用PCのみで管理できる「オフライン管理版」がある。初期コストは100〜499ライセンス導入時で1ライセンス1万6500円+年間利用権の2475円(2015年9月18日までキャンペーン特価あり)。次年度以降、同1ライセンス2475円/年で使える。
施錠収納管理できる可搬性、内部不正対策やデータを標準で暗号化する機能とともに、漏えいさせない、残さない、利用者制限と使用管理を行うといった個別の安全管理処置を要する、マイナンバー制度対応のための作業者・管理者向けクライアントにも向く。
マイナンバー制度とは
マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。
国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。
事務を担当する機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する届出に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。
マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。
マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。
マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。
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