車に寝泊まりしながら自由に旅をする「車中泊」がブームになっています。拠点となる車内で宿泊するには工夫が必要ですが、家電を利用できれば快適さはアップします。家電に電気を供給するために必要なのが「ポータブル電源」です。
近年、ポータブル電源はさまざまなモデルが登場しています。ここでは、ポータブル電源を選ぶポイントや、車中泊におすすめのモデルを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
ポータブル電源は、充電式バッテリーを内蔵し、AC(交流)100Vのコンセントや、DC(直流)を出力するシガーソケットやUSBポートを備え、家電などをどこでも利用できるようにする機器です。同じような機器として「モバイルバッテリー」がありますが、スマホなどを充電できるUSBポートのみが基本。ポータブル電源はACコンセントやシガーソケットを使える汎用性の高さや、家電の使用にも対応できる大容量が特徴です。
車中泊がブームとなり、車中を快適に過ごすための専用家電も増えています。ポータブル電源があれば、車のバッテリーを気にすることなく家電を利用できのに加え、ライトや扇風機、電気毛布、調理器具など、家で普段使っている家電をそのまま車内でも使えるのが大きなメリットです。
ポータブル電源は、もはや車中泊の必需品と言えるでしょう。持ち運べるのでキャンプなどでも活用でき、防災用品としても活躍してくれます。
ポータブル電源の容量は「Wh」(ワット時)という単位の電力量で表されています。これは「電力(W)×時間(h)」で求められ、例えば容量が「100Wh」なら、単純計算で「消費電力10Wの機器を10時間使える容量」ということになります。ただし、実際に使えるのは表示容量の7割程度とされています。
これを念頭に、「使いたい機器の消費電力の合計(W)×使いたい時間(h)」を余裕を持ってカバーできるような容量(Wh)のポータブル電源を選びましょう。製品説明には「○○なら○時間の使用が可能」などと書かれていることも多いので、参考にしましょう。
容量を見れば使用可能な時間が分かるのに対し、「出力」ではポータブル電源が電気を供給できる能力が分かります。「定格出力が100W」「瞬間最大出力が200W」という形で表され、この場合は使用機器の消費電力が合計100Wまでなら安全に連続使用できますが、瞬間的には合計200Wまで対応可能、という意味です。
連続使用するなら定格出力の範囲内に収まるように使うことが基本なので、使いたい機器の消費電力の合計が対応できるか、確認しましょう。スタンダードなポータブル電源では100〜300W程度ですが、暖房器具なども利用できる1000W以上のモデルもあります。
一般的なポータブル電源は、電気の出力ポートとしてコンセント(AC100V)、シガーソケット(DC12V)、USBポート(DC5V)を装備しています。ポート数は機種によって異なるので、必要な数を満たしているかチェックしましょう。出力もポートごとに異なることがあるので、使いたい機器に対応できるかどうかもチェック。
長期の旅行なら、オプションの太陽電池(ソーラー)パネルを使って充電できるポータブル電源が便利。チャージに時間はかかりますが、充電手段が限られている旅行中は助かります。
容量と出力が大きくなればなるほど、本体サイズが大きくなり、重量も増えます。車内に無理なく設置できるか、本体サイズと設置場所を確認しておきましょう。
ポータブル電源では、内蔵バッテリーの直流(DC)出力をインバーターと呼ばれる機器でAC(交流)に変換することでのACコンセントを利用できるようにしています。家庭用の交流電源は「正弦波」と呼ばれるなめらかな波形で出力されており、家庭用コンセントを使う家電などの機器は、基本的に正弦波の電源を使う前提になっています。
安価なポータブル電源では、カクカクした「矩形波」や、矩形波を修正して正弦波に近づけた「修正正弦波」を出力するものがあります。こうしたAC出力で使える機器はごく単純な家電(電子制御機構のないホットプレートなど)に限られ、ACアダプターや扇風機、IH調理器、パソコン、テレビなど、多くの家電が原則として使えません。知らずに使うと最悪の場合、故障するおそれもあります。
ACコンセントを使うさまざまな家電を使いたいのであれば、AC出力に「純正弦波」などとうたっているポータブル電源を選ぶと安心です(ちなみに、ハイブリッド車に装備されているACコンセントも正弦波とは限りません。マニュアルなどを確認しておきましょう)。
また、安全性もチェックしておきたいところ。日本の「電気用品安全法」に基づき、技術基準に適合した製品に表示できる「PSE」マークの取得をうたっているメーカー製品なら安心です。
スマホ充電がメインの場合や、使用機器がノートPCやファンなどの小型機器に限られ、1〜2泊程度ならスタンダードな500Whまでのクラスでも対応できるでしょう。
・容量:97.2Wh/定格出力(最大出力):100W(125W)
モバイルバッテリーで定評のある「アンカー」(Anker)の小型モデル。単行本サイズの本体にAC出力(純正弦波)×1ポートとUSBポートを備え、スマホやタブレットの充電のほか、小型家電などを利用できます。ライトも搭載しており、防災グッズとしても活躍します。
・容量:400Wh/定格出力(最大出力):200W(400W)
元Appleのエンジニアなどが米国で設立した「ジャクリ」(Jackery)は、ポータブル電源の人気メーカー。標準的な容量の「400」はAC出力(純正弦波)×1とシガーソケット×1、USBポート×2を備えています。オレンジカラーをあしらったハンドル付きの本体デザインも人気のポイントです。コスパのいい240Whモデルもあります。
・容量:389Wh/定格出力(最大出力):300W(600W)
アンカー(Anker)のスタンダードなモデル。AC出力(純正弦波)×1とシガーソケット×1、USB-A×3とUSB-C×1ポート、DC出力×2を装備。出力が300Wと余裕があり、使用できる機器や組み合わせの幅が広がります。バッテリー状態を表示する大型ディスプレイを搭載。
・容量:500Wh/定格出力(最大出力):300W(450W)
「PowerArQ」はポータブル電源の人気モデルの1つ。スタンダードな「PowerArQ2」は300WのAC出力(正弦波)×2を装備。シガーソケットやUSB-Cポートなどに加え、スマートフォンのワイヤレス充電も可能なコスパの高いモデルです。346Whの「PowerArQ mini」もラインアップ。
・容量:444Wh/出力:400W
このクラスとしては珍しいAC出力(純正弦波)×3を備えているモデル。定格出力も400Wと大きく、対応力の高いポータブル電源です。本体サイズがコンパクトなのもポイント。
600〜900Whクラスのモデルなら、電気毛布や扇風機なども余裕を持って利用できます。複数の家電を同時に使ったり、連泊することが多い場合はこのクラスを検討してみましょう。
・容量:700Wh/定格出力(最高出力):500W(1000W)
人気のジャクリ(Jackery)の700Whモデル。AC出力(純正弦波)×2を備え、最大500Wの家電が利用できます。
・容量:778Wh/定格出力(最大出力):500W(1000W)
アンカー(Anker)の容量778Whモデル。AC出力(純正弦波)×2は最大500Wと、電気毛布や小型冷蔵庫などを2台同時に利用できる余裕があります。USB-C×2ポートなどを含め、11台の機器を同時に給電できます。
・容量:626Wh/定格出力(最大出力):300W(500W)
「PowerArQ」シリーズの626Whモデル。AC出力(正弦波)は1ポートですが、このクラスとしては比較的安価なモデルです。
容量が1000Whを超える超大容量モデルは出力も大きく、セラミックファンヒーターなど消費電力が大きい家電も利用できます。ファミリーの防災用などにも安心して対応できる容量です。ただし本体が大きく重くなるので、設置場所や持ち運び方を考える必要があります。
・容量:1002Wh/定格出力(最大出力):1000W(2000W)
ジャクリ(Jackery)の最大容量モデル。出力は1000Wと大きく、さまざまな家電に対応できます。重量は10.6kg。
・容量:1000Wh/定格出力(最大出力):1000W(2000W)
「PowerArQ」シリーズの最大容量モデル。AC出力(正弦波)×3は合計1000Wまで、シガーソケットは最大120Wまで対応します。重量は10.4kg。
・容量:2000Wh/出力:2000W
容量2000Wh、出力2000Wという超大容量モデル。AC出力(正弦波)×6などを備え、エアコンやオーブンなどにも対応できてしまう破格のキャパがあります。その分、重量は27.5kgとかなり重くなっています。
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