ひと言で「スマートフォン(スマホ)」といっても、いろいろな特徴を持った機種(モデル)発売されています。その中でも、最近注目を集めているのが「フォルダブルスマートフォン」です。そもそも、どのようなものなのでしょうか。そしてどのようなメリットとデメリットを持つのでしょうか。2021年10月現在において購入できるおすすめモデルと合わせて紹介します。
フォルダブルスマートフォンの「フォルダブル(Foldable)」は「折りたためる」という意味です。
最近のスマホで主流となりつつある有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと比べるとパネルを薄型化しやすいだけではなく、柔軟性を持たせやすいというメリットがあります。簡単にいうと、平面ではなく“曲面”にしやすいということです。
有機ELディスプレイの柔軟性を持たせやすいというメリットを突き詰めて、画面を折りたためるようにしたのがフォルダブルスマートフォンです。製品として販売されるようになったのは2019年からで、Royole(ロヨル)が開発した「FlexPai(フレックスペイ)」がその先駆けと言われています。その後、Samsung Electronics(サムスン電子)が「Galaxy Fold」、Huawei(ファーウェイ)が「HUAWEI Mate X」を相次いで発売し、ある意味で“フォルダブルバブル”ともいえる状況になりました。
その後も、フォルダブルスマホの新モデルは複数のメーカーからいくつか登場しています。
フォルダブルスマホのメリットは、折りたたむことでコンパクトになることです。折りたたむ分厚みこそ少し出ますが、カバンの中にスマホを入れて持ち運ぶ場合はスペースの節約になります。それでいて、開くと大きな画面が広がります。
持ち運びはコンパクトながらも、WebサイトやSNSの閲覧、動画の視聴は大きな画面で楽しめるというのは何よりのメリットといえます。
先述の通り、フォルダブルスマホには画面を「谷折り」するものと「山折り」するものがありますが、最近は画面を内側にしまえる谷折りタイプが主流です。谷折りタイプなら使わない時に画面を内側にしまっておけるので、画面が不用意に傷付くことを防げます。
「画面が内側にしまわれると通知を確認できないのでは?」と思うかもしれませんが、谷折りタイプのモデルでは通知を確認するためのサブディスプレイを備えていることが多いので、気にする必要はありません。
フォルダブルスマホのデメリットは、何より画面に「折り目」が付いてしまうことです。先述の谷折りタイプのモデルでは、折りたたんだ際のすき間を極小化する観点で、折り目がしっかりと付けられています。
この折り目の部分を指でスワイプする(なぞる)と、どうしても気になることも事実です。画面を見る際も、見る角度や表示している色や明るさによっては折り目が目立ってしまうことがあります。
ただし、明るい映像を表示していると意外と折り目は気になりません。斜めから見たり、暗い表示を見たり、外部の光が強く画面に当たったりすると気になりやすいのですが……。
もう1つ、フォルダブルスマホの弱点としてホコリなどの“異物”が挙げられます。
先述したGalaxy FoldやHUAWEI Mate Xでは、発売前のメディア向けレビューの段階において、折れ曲がるヒンジの部分に粒度の大きい砂などが入り込んで画面が破損してしまうというトラブルが発生しました。このトラブルを受けて、両端末は構造改良のために発売を延期したほどです。
世代が進むにつれ、ヒンジ部分には改良が加えられ、異物混入による破損リスクは少なくなってきました。しかし、IEC(国際電気標準会議)が定める耐じん/防じん性能を満たすフォルダブルスマホはまだありません。ホコリの多い場所、砂の舞うような場所での利用は気を付けてください。
10月17日時点において日本で購入できるフォルダブルスマホの中でも、特におすすめするモデルを紹介します。
「razr(レーザー) 5G」はモトローラ製のフォルダブルスマホです。キャリアフリーモデルとして主要な家電量販店やWeb通販サイトで販売されている他、ソフトバンク向けモデルも用意されています。
その名の通り、同社の「motorazr(モトレーザー)」のデザインを引き継いでいることが大きな特徴で、折りたたんだ際の姿は、かつての同ブランドのフィーチャーフォン(ケータイ)を彷彿とさせます。
プロセッサはミドルハイ向けの「Snapdragon 765G」で、メインメモリは8GB、ストレージは256GBを備えています。メインディスプレイはHD+解像度(876×2142ピクセル)の6.2型有機ELです。カメラを含む一部アプリの操作も行える800×600ピクセルの2.7型有機ELサブディスプレイも備えています。アウトカメラは4800万画素、インカメラは2000万画素のシングル構成です。
主要キャリアの5G通信サービス終了に対応しており、キャリアフリーモデルではnanoSIMカードと「eSIM」のデュアルSIMにも対応しています(ソフトバンク向けモデルは対応していません)。
普段使いする分には必要十分なスペックを備えており、スタイリッシュなフォルダブルスマホが欲しい人におすすめです。ボディーカラーはポリッシュドグラファイトのみですが、一部販路限定で「ブラッシュゴールド」も用意しています。
サムスン電子製のフォルダブルスマホです。日本ではNTTドコモとau(KDDIと沖縄セルラー電話)が販売しています。
フォルダブルスマホ「Galaxy Zシリーズ」の中では比較的コンパクトな「Flip」の第3世代モデルで、ついにIPX8等級の防水性能を確保しました。雨の中での利用もある程度安心です。日本向けモデルではおサイフケータイにも対応しています。
プロセッサはハイエンド向けの「Snapdragon 888」で、メインメモリは8GB、内蔵ストレージは128GBを備えます。メインディスプレイはフルHD+解像度(1080×2640ピクセル)の6.7型Dynamic AMOLED(有機EL)で、通知の表示や一部操作を行える512×260ピクセルのサブディスプレイも備えています。アウトカメラは1200万画素×2(広角+超広角)のデュアル構成、インカメラは1000万画素のシングル構成です。
フォルダブルという斬新さと、今までのスマホの使い勝手のバランスを取りたいという人におすすめです。
サムスン電子製のフォルダブルスマホです。日本ではNTTドコモとau(KDDIと沖縄セルラー電話)が販売しています。
フォルダブルスマホ「Galaxy Zシリーズ」の中ではハイエンドかつ大画面な「Fold」の第3世代モデルで、ついにIPX8等級の防水性能を確保しました。雨の中での利用もある程度安心です。独自の「Sペン」によるペン入力にも対応しているので、仕事道具としての使い勝手が高まっています(Sペンは別売です)。日本向けモデルではおサイフケータイにも対応しています。
プロセッサはハイエンド向けの「Snapdragon 888」で、メインメモリは12GB、内蔵ストレージは256GBを備えます。メインディスプレイはQXGA+解像度(1768×2208ピクセル)の7.6型Dynamic AMOLED(有機EL)で、各種操作を行えるHD+(832×2268ピクセル)の6.2型サブディスプレイも備えています。アウトカメラは1200万画素×3(広角+超広角+望遠)のトリプル構成で、インカメラはカバー側に1000万画素、メインディスプレイ側に400万画素のものを搭載しています。
とにかく仕事の“道具”としてとことん使い込みたい人におすすめです。
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